スティーブン・R・コヴィー博士が、著作の「7つの習慣」で紹介した成功哲学は、世界中で活用されています。書籍は全世界で3,000万部以上、日本国内でも180万部を突破したベストセラーです。Fortune誌ベスト100社のうち90社が導入しているなど、多くの優れた企業で導入されている普遍的なプログラムです。今回の投稿は、7つの習慣の活用の考え方を紹介することを通じて、新時代を自分らしく生きる発想法を考察します。
7つの習慣とは
個人主義から人格主義
真の成功は、社会的イメージに固執したり、交渉術などのテクニックに走る「個人主義」ではなく、誠意・謙虚・誠実・勇気・忍耐など内面を磨く「人格主義」でしか得られないと説いています。
インサイド・アウト(内面からの変革)のアプローチ
インサイド・アウトは「自分が変わらなければ周囲も変化しない」という根本的な考え方です。
組織を変革するときに、外部からのアプローチも必要ですが、組織を構成する個人個人の意識の改革を行わなければ、真の成果は望めません。
パラダイム・シフト
パラダイムは、私たちが物事をみるときの見方、感じ方です。行動を変えるときは、前提となるパラダイムを変えることが必要です。
7つの習慣は、人がものごとをとらえる見かたを変換させる(パラダイム・シフト)ことによって、自分のあり方を大きく変えるとしています。
新時代は、組織から個人へのシフトが考えられます。大企業、大組織に所属すれば安心な時代ではありません。個人が自分自身に向き合うことで、成果を出していくべきです。
私的成功(第1、第2、第3の習慣)
個人が精神的に自立することです。自分自身がどんな人でありたいかを明確にします。自分自身で責任を持つことによって、行動の優先順位を決めていきます。
アフターコロナの新時代は、自分自身の運命は自分で責任をもって決めていかなければなりません。
第1の習慣:主体的である
身の回りに何が起こったとしても、自分に与える心の影響は、自分自身の中で選択することができます。いいかえるとものごとはとらえようです。自分の身に起こることに対して、どういう態度を示し、そしてどう行動するかは自分で決めていきます。環境に動かされるのではありません。自分が影響を及ぼせる範囲において、自分自身をよりよくしていきます。
今日の自分があるのは、自分自身の過去の選択の結果です。過去の選択によってすでにある現在の環境と、これから自分で作っていく環境があります。自分自身の影響が及ぼせる範囲内での選択肢を前向きに選ぶことで、これからの思い描いた未来を決めることができます。
これからの新時代は自分自身の手で主体的に、思った通りに切り開くべきなのです。
第2の習慣:終わりを思い描くことから始める
自分の最後のイメージ、光景を思い描くことから始めます。
もし、自分が亡くなった場合、家族、友人、仕事関係など自分を知る人々は、自分についてどう言ってほしいのかを想像してみます。どのような人格であったのか、どのような貢献をしてきて、実績を積んだのか、まわりのみんなにどのような影響を及ぼしたのか、自分について思い出して語ってほしいことを考えます。
いいかえると自分にとってあるべき姿を思い描くことなのです。自分がそうありたい最後のイメージを思い描くことによって、現在取り組むべきことを明確にします。自分にとってあるべき姿に向かって成長していくストーリを覚醒させるのです。
第3の習慣:最優先事項を優先する
第2の習慣において、あるべき姿を思い描いた姿が目的地です。目的地に対して、コンパスと時計が必要です。コンパスが「どこに向かって進むのか」の重要度です。時計が緊急度です。重要度と緊急度をみて、今取り組むべきことの優先事項を決めていくのです。
人生は取捨選択の連続です。何を取り組むべきかと同じように、何をしないべきなのかを選ぶことも非常に大事です。あるべき姿の目的地にむかって、優先順位を優先的に行い、そうでないものについては、しない、もしくはほかの人に委ねることです。
上記は第三の習慣における時間管理のマトリックスです。
第二の習慣における人生のコンパスを定めて、緊急ではないため主体的に取り組む必要性がある事項を行います。結果、第一の領域における危機やトラブル対応における時間を減らすことが、効果的な自己管理の在り方です。
公的成功(第4、第5、第6の習慣)
第1の習慣から第3の習慣までの私的成功は自分自身の自立に対してです。次のステップとしては公的成功があります。公的成功は、私的成功による自立を前提として、社会のために何ができるかという視点です。
学校、企業など所属組織や地域社会では、周囲の人々と互いに影響を与えながら、自立の精神に立脚した、相互依存関係を築いています。かかわる人々と相乗効果を生み出すなかで、個人だけではなしえなかったことを、周囲の人々とともに実現することが公的成功です。
第4の習慣:Win-Winを考える
人生を競争ではなく、協力する場だとみる考え方です。競争がある世の中ですが、相手を尊重し、ともに満足できる方法をとれば、双方が勝者になりえます。
双方が勝者になることが無理なら、勝者を決めず、No deal(取引しない、白紙に戻す、合意しない)ことが、お互いにとって長期的には望ましいと考えます。
アフターコロナの新時代の相互関係は、Win-Winです。一方だけ勝者になる形は、持続可能な社会であるとは言えません。
第5の習慣:まず理解に徹し、そして理解される
Win-Winの関係は、互いの尊重と信頼関係が大事です。信頼関係を構築するためにはお互いに理解しあう必要があります。肝心なのは、自分を理解されるようにする前に、相手を理解することに徹することです。相手の身になって親身に話を聴くことによって、自分のことも理解してもらいやすくなります。
第5の習慣には傾聴のスキルが大事です。以下の投稿もご参考ください。
自分の身になって振り返りましょう。人は話し上手より聴き上手のほうが好かれるものです。
第6の習慣:相乗効果を発揮する
相乗効果とは、全体の合計が各部分の和よりも大きくなるということです。1+1が2ではなく、3かそれ以上になるということです。
異なる考え方が対立したときに、妥協案をだすのではありません。相違点を克服した新たな第3案を出すという考え方です。相違点は、障害ではなく新たな機会ととらえます。
Win-Winの関係では、互いの相違点を尊重しあい、違いが大きければ大きいほど、相乗効果も大きくなると考えます。
アフターコロナの新時代においては、相互関係による相乗効果を追求する社会をめざすべきです。粒ぞろいではなく、粒違いの創造的な関係による社会づくりです。
第7の習慣:刃を研ぐ
私的成功・公的成功を継続し、さらに進化させるためには、たえず学び磨き続けることが必要です。個人の資源である肉体、精神、知性、社会・情緒の4つの面の能力を伸ばすことです。
例えば運動によって肉体を鍛えます。価値観に対する決意で精神を修養します。読書によって知性を磨きます。公的成功によって社会・情緒を安定させます。
学び、決意し、実行するといったサイクルを螺旋状に積み上げ、自分自身をリフレッシュします。さらなる高みをめざします。
身体の健康は、精神の健康に、精神的な力は情緒的な力と能力に影響します。ある能力を改善することで、他の能力も高まります。「7つの習慣」自体も相乗効果的に働きます。
「7つの習慣」著者紹介
スティーブン・リチャーズ・コヴィー(Stephen Richards Covvey)
1932弁10月24日、米国ユタ州ソルトレイクシティ生ました、妻・家族と暮らし、ユタ州にて2012年7月16日、自動車事故の傷がもとで79歳で生涯を閉じました。
1952年ユタ大学卒業、1957年ハーバード・ビジネス・スクールにてMBA取得後、ブリガムヤング大学で博士号取得の後、経営管理・組織行動学教授を務めました。のちにランクリン・コヴィー社(米国)の共同創設者、 ユタ州立大学商経学部終身教授となりました。
著作「7つの習慣ー人格主義の回復」”The 7 Habits of Highly Effective People”は、世界で40か国語に翻訳され3000万部、日本では200万部の売上を記録しました。
経営コンサルタントとして、英国「エコノミスト」誌によって、世界で最も大きな影響力を持つとされました。また、米国「タイム」誌では、世界で最も影響力のある米国25人のひとりに選ばれました。
自分の運命を自分で切り開くための助言を、わかりやすく伝えることに生涯をささげました。世界で最も影響を与えた、ビジネス作家のひとりとしてあげられています。
まとめ
ウィズコロナの時代は、これまでに人類が得てきた英知を引き継いで、後世に伝える必要性を浮き彫りにしています。また、過去の悪い習慣は改めていく必要があります。7つの習慣の本質は、人間は自らをすべて完成させることは出来ず、探究に終わりはないということです。アフターコロナ時代の心構えはここにあります。
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