ニューノーマルとは アフターコロナの働き方と発想

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ニューノーマル(新状態)とは、コロナなどの影響によって社会変動が起こり、以前とは同じ姿にもどらず、新たな常識が定着することをいいます。

新型コロナウィルスは2019年中国に武漢で初めて発見されました。以降、世界中に感染が拡大し、混乱がもたらされています。各国で緊急事態宣言やロックダウン(外出や入域の制限)が発令され、人や物の動きが滞り、経済は大打撃を受けています。この事態をだれが事前に予測しえたでしょうか。本投稿では、ますます不透明になる未来を切り開く働き方と発想法について記載します。

ニューノーマルとは

ニューノーマル(新状態)の言葉は、ITバブル後の2003年ごろアメリカで、ネット社会到来による従来のビジネスモデルが通用しなくなる新時代を指して、ベンチャーキャピタルを運営していたロジャー・マクナミー氏が使ったのが最初とされています。

リーマンショックの前年である2007年に、ハーバード・マネジメント・カンパニー元社長モハメド・エラリアン氏が、著書「市場の変相」で世界経済の構造転換を予測、金融危機後の世界の低成長を示すニューノーマルを提唱しました。実際リーマンショック後、痛手を負った人々の意識は大きく変容し、資本主義社会から持続可能な社会への変革が進みました。

コロナによるニューノーマル

コロナにより、飲食や娯楽施設、職場の人の流れが激減しました。下記は、米グーグルがスマートフォン利用者の位置情報をもとに移動先を分析したデータを使って人出の状況です。コロナの影響は、日本よりアメリカでより深刻であったことがうかがい知れます。

都市ごとのヒトの動き

ニューノーマルの各国の雇用状況

雇用状況もやはりアメリカの変動が大きいです。一時2020年4月には完全失業率は14.7%まで上昇しました。直近の結果(2022年6月)によると、3.6%まで回復しています。大統領選挙にも雇用状況は大きな論点になりました。アメリカの大統領は世界で最も影響のある一人です。まさにコロナで世界は一変したといえるでしょう。日本は完全失業率が2.4%(2020年1月)~3.1%(2020年10月)と比較的緩やかながら悪化したのちに回復傾向にあり、直近(2022年6月)は2.6%まで回復しています。

各国完全失業率
各国完全失業率:資料出所:OECD.Stat(2022年8月3日現在)

諸外国については、イギリス5.2%(2020年10月)→3.8%(2022年6月)、ドイツ3.9%(2020年10月)→2.8%(2022年6月)、フランス8.9%(2020年10月)→7.2%(2022年6月)、イタリア10.2%(2020年10月)→8.1%(2022年6月)、韓国5.2%(2020年10月)→2.9%(2022年6月)となっており、世界的に雇用情勢が回復していることを示しています。

リーマンショックとの完全失業率の比較:資料出所:OECD.Stat(2022年8月3日現在)

リーマンショックと、新型コロナウィルスとの雇用状況の比較においては、上記の通り、リーマンショックにおいては、徐々に悪化度合いが膨らみつつある傾向が見られます。一方新型コロナウィルスについては、一時的に急激に悪化はしているものの、徐々に回復傾向となっています。ニーノーマルのくくりの中でも、発生原因によってその後の世界経済に及ぼす影響の傾向の違いが読み取れます。

ニューノーマル(コロナ)と景気の動向

人の外出が減少することは、経済活動に深刻な影響を与えます。交通機関、外食、旅行による消費、外出用の服の需要に直撃しました。

供給面では、中国からの中間財(生産過程において他の財の完成までの中間で使用される財)の輸入がとまり、グローバルサプライチェーンの分断がおこりました。自動車をはじめとする製造業の国内生産の縮小を余儀なくされました。

需要面では、中国やその他の地域からの観光客が激減しました。海外旅行客の割合が多かった宿泊、輸送、飲食、小売などのサービス業の需要が激減しました。

日米欧の実質GDP比較
日米欧の実質GDP比較 資料:内閣府 米国商務省 ユーロスタット

経済活動の指標であるGDP(国内で新しく生産された商品やサービスの付加価値の総計である国内総生産:gross domestic product)は、コロナの影響で大きく落ち込みました。

これを受け、政府も企業の倒産を防止すべく新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)による資金面での補助、Go Toトラベルによる観光業の下支え、特別定額給付金(新型コロナウイルス感染症緊急経済対策関連)を行いました。見通しとしては回復基調にあります。

ニューノーマル(コロナ)で伸びた需要

テレワーク関連の、ビデオ会議システム「Zoom」、遠隔操作ツールの「リモートビュー」、ビデオ会議ツール「Hangout Meet」は、利用者が急増しています。自宅で快適に仕事ができるように、高性能なパソコンやモニター、プリンターなども売れています。

リモートワークについては下記投稿もご参考ください。

ドラッグストアで売られている商品は、需要が伸びました。マスクや消毒液、ティッシュ類、薬や健康食品などです。一時、マスクは品薄で入手が困難な時期がありました。マスクを自作する人が増えたのでミシンの売り上げも増加しました。

スーパーにおいては、自宅で食事をする人が増えたため、カップ麺やパスタ麺、簡単に調理できるレトルト食品などの売上げが増えています。

家庭用冷凍食品も、コロナの影響で外食が減りかつ、保存もしやすいため需要が伸びています。食品産業新聞社ニュースWEBによると、2020年1〜7月累計での冷凍食品合計の販売金額は前年比9.2%増と伸長したいいます。(調査対象=全国の生協・スーパー約150チェーン1027店舗)

外食減の影響はUber Eatsや宅配ピザなどの、フードデリバリーの利用者増にもつながっています。自宅で楽しめるホームベーカリーの売れ行きも好調です。ネット通販や買い物代行も伸びています。

自宅でできるレジャーが活発化しています。例えば休校の影響により、モバイルゲーム「王者栄耀」は、1月末にユーザー数が史上最多を記録しました。在宅ワークの影響もあり、ユーチューブ、AmazonプライムやNetflixなどの動画配信サービスも視聴者が伸びています。

都会や人が多い繁華街に行くのが手控えられている代わりに、ずっと家に引きこもっているのが耐えられなくて、田舎で自然を楽しもうという人は増えてきています。その結果、アウトドア用品の売れ行きが良くなっています。都会から田舎回帰のきっかけになるかもしれません。

ニューノーマル(アフターコロナ時代)の発想方法

コロナの影響により、これまでの常識が大きくかわるニューノーマル(新状態)時代を迎えました。これまでの常識にこだわらず、新しい発想と秩序が求められています。

ITの活用は、一層重要性を増すでしょう。対面の機会の減少を補う仕組みの発想が求められます。そして、コロナは永遠に続くとは考えにくいです。仮にコロナが収まった時は、世界はどうなっているでしょうか。単純にコロナ前に戻るわけではないでしょう。抑えていた需要が反動で一時的に急増することは考えられます。

いったん広まったリモートワークの習慣が、なくなることはないでしょう。都市部の存在感が以前に比べかげりが見え、田舎に光が当たることも考えらます。このように時代の変動を予測して、対処策を考えることは重要です。

ニューノーマル時代

時代の変動にあわせて事業を転換した例として、主力事業を事務機器販売から「働き方改革の支援サービス」を中小企業向けに展開した、株式会社WORK SMILE LABOがあげられます。

ベストセラー作家で認定ビジネスコーチのスー・ホークス氏は、困難な時期を乗り越える方法を以下のように語っています。

大事なことに集中する

愛する人たちと時間を過ごし、自分にとって最も大切なことを優先しよう。後悔していることを全て洗い出し、対処しよう。人生はあなたが思っているよりも短い。

1日1歩前進する

目標には、週2回散歩することや、週に1度健康的な食事を作ることなどがある。目標を実際に達成したことが理解できれば、その瞬間を追求し、たたえることができる。

他者と支援し合う

助けを求めることをためらわないこと。人は助けたいと思っていても、どうすればよいのか分からないことが多い。人から支援の手を差し伸べられたら、助けてほしいことのリストを作って共有しよう

忍耐力を持つ

悲しみが完全に消えることはないが、時間がたてば良くなることを知ってほしい。時がたてば、本当に回復するのだ

ニューノーマル時代における未来の予測対応については下記投稿もご参考ください。

まとめ

脅威を機会に変える発想が大事です。既存の仕組みが崩壊するときは、大きなビジネスチャンスがあり、崩壊した仕組みが復興するときも、着実なるビジネスチャンスがあるといいます。発想の転換を行い、ニューノーマル(アフターコロナ)時代をしなやかに生き抜きましょう。

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