ハラスメント対策(損害賠償事例、リスクと心がけ)

営業 事業企画

ハラスメントは、⼈としての尊厳や⼈格を不当に傷つける⼈権に関わる許されない⾏為です。会社や人の人生を破壊する要素として社会問題になっています。ハラスメント対策のため、お互いに尊重と思いやりの心を持つことは、職場環境を良くし、生産性向上を上げることにつながります。本原稿では、会社組織が取り組むこと、個人が被害にあわないような心がけることについて記載します。

職場や会社にとってハラスメントは、使用者の責任として法的な責任を負い、賠償責任が発生することとなります。また、職場の空気が悪くなり離職者多発による採用コスト増や、ノウハウの流出による競争力低下につながります。

個人にとってはモチベーションの低下につながります。ひどいときには、うつ病、対人恐怖症等精神疾患の発症を引き起こし、休職や自殺にいたることもあります。

会社だけでなく、ハラスメント加害者である個人にも賠償責任が問われるケースがあります。

ハラスメントの損害賠償事例

沖縄県金武町金武区事務所に勤務した20代男性職員がパワーハラスメントで、自殺に追いやられたとして2017年5月に遺族が提訴しました。上司であった当時の区長と40代の同僚は、那覇地裁で遺族と和解し、計7,000万円(上司5,500万円、同僚1,500万円)支払うことになりました。

上司であった当時の区長と40代同僚は、男性が入所した時から威圧的な態度で怒鳴ることがありました。男性の人格や人間性を否定し、雇用を不安にするような発言を繰り返したといいます。(沖縄労働基準監督署が労働災害を認定)

ハラスメントの種類

セクシャルハラスメント

セクシュアルハラスメントは性的嫌がらせのことです。性的言動によって不利益を受けたり、労働環境などが害されるハラスメントです。男性から女性が多くはありますが、男性も女性も加害者にも被害者にもなり得るほか、異性に対するものだけではなく、同性に対するものも該当します。

厚生労働省の定義によると、セクシャルハラスメントは、職場において行われる労働者の意に反する性的な言動により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されることをいいます。

引用:厚生労働省 あかるい職場応援団

対価型セクシャルハラスメント

拒否することで解雇や更新拒否、異動、降格、減給、などの不利益を受けることです。

環境型セクシャルハラスメント

職場環境が、性的言動によって不快なものになり、就業するうえで支障が生じることです。

職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント

妊娠・出産・育児休業・介護状態になったこと、休業、休職制度などの制度の利用を理由に、不利益に取り扱ったり、阻害や嫌がらせの言動を行うことです。

厚生労働省の定義によると、職場において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業・介護休業等を申出・取得した男女労働者の就業環境が害されることをいいます。

引用:厚生労働省 あかるい職場応援団

パワーハラスメント

職場における優越的な関係を背景にしたのものであって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより労働者の就業環境が害されるものです。

厚生労働省によるとパワーハラスメントの定義として以下の3つをすべて満たすものとされています。

①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの

業務上必要かつ相当である範囲の、指導や指示は含まれないとされています。

厚生労働省 あかるい職場応援団

ハラスメントによる経営のリスク

法的な責任が生じる

ハラスメントが発生することによって、会社は以下の責任が生じる恐れがあります。

  • 使用者責任(雇用している労働者が第三者に損害を与えた場合に会社が負う、加害者である労働者と連帯して損害を賠償しなければならない責任:民法715条1項)
  • 不法行為責任(ある者が他人の権利ないし利益を違法に侵害する行為を不注意に認識しなかったり、不注意に防止しなかったこと)
  • 債務不履行責任(法律上の義務を果たさない責任)

ハラスメントの精神的なダメージを受けた責任による、損害賠償訴訟を起こされるリスクがあります。その場合は経営における財務面、時間面のダメージだけでなく、企業ブランドイメージの棄損につながり、商品・サービスの提供や人材採用に悪影響が出る可能性があります。

従業員のモチベーション低下、離職率の上昇

ハラスメントが発生すると、職場の風土や人間関係が悪化します。従業員のメンタルヘルス(心の健康)が悪化が発生します。結果として、離職者が増加したり、働く意欲である従業員のモチベーションの低下による生産性の低下が起こります。

従業員の離職率が上昇すると、採用、教育コストが増加したり、ノウハウの喪失による業務レベルの低下など経営に大きな悪影響が出ることがあります。

従業員離職防止(リテンションマネジメント)については下記投稿もご参考ください。

パワーハラスメントの裁判例(会社の不法行為責任賠償)

「Aは、B銀行において勤続33年の課長職でした。
B銀行は、Aを従来20代前半の契約社員が担当していた総務課受付へ配置転換しました。

→ 東京地裁は、人事権の行使は経営上の裁量判断に属する事柄であるが、勤続33年におよび課長まで経験した者にふさわしい職務であるとはとうてい言えず、退職に追いやる意図をもってなされたものであるとして不法行為を構成すると判断し慰謝料100万円の支払いを命じました。

引用:東京地判平成7年12月4日

会社組織としての取り組み

経営者、管理職、同僚は、お互いに尊重しあうことが大事です。職種や職位、性別にかかわらず対等な存在として、敬意をもって接する思いやりの心が職場環境をより良いものにします。それが、個人の力が発揮できる場をつくり、組織力がアップして成長につながります。生産労働人口が減り続ける我が国において、貴重な人材の活躍の場を提供することは、幸福な社会形成にとってとても重要です。

令和2年6月1日に、女性の職業生活における活躍の推進等に関する法律等の一部を改正する法律が施行されました。これにより、職場におけるパワーハラスメント防止のために、事業主が雇用管理上講ずべき措置が、業種・規模に関わらず、すべての事業主に義務付けられました。

ハラスメント対策において事業主が講ずべき処置

事業主の方針を明確化し、管理・監督者を含む労働者に対してその方針を周知・啓発すること

相談、苦情に応じ、適切に対応するために必要な体制を整備すること

相談があった場合、事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者及び行為者に対して適正に対処するとともに、再発防止に向けた措置を講ずること

相談者や行為者等のプライバシーを保護し、相談したことや事実関係の確認に協力したこと等を理由として不利益な取扱いを行ってはならない旨を定め、労働者に周知・啓発すること

業務体制の整備など、職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの原因や背景となる要因を解消するために必要な措置を講ずること

引用:厚生労働省

事業主は個別の施策の実施や、就業規則へのハラスメントに関する規程の整備が義務付けられました。

ハラスメントの被害にあった時の3つの対策

はっきりと意思を伝えする

ハラスメントは、受け流しているだけでは状況は改善されません。「やめてください」「私はイヤです」と、あなたの意思を伝えましょう。
我慢したり、無視したりすると事態をさらに悪化させてしまうかもしれません。問題を解決していくことが、悩んでいる他の人を救うことにも繋がります。(参照:厚生労働省)

ハラスメントを行う人の中には、おとなしい人を狙う傾向があります。何も言わないことを良いことに増長するケースも見られます。気が強くないかたであれば、勇気のいることです。勇気を出すために、当事者以外のかたの理解を得ていくことも一つの手段です。異性からのセクシャルハラスメントであれば、話しやすい同性や同性の人事、上司に事実関係を伝える方法があります。

会社の相談窓口へ相談

ハラスメントは、個人の問題ではなく会社の問題です。会社の人事労務などの相談担当者や信頼できる上司に相談しましょう。取引先や顧客などからセクシュアルハラスメントを受けた場合も、自分の勤める会社に相談してください。労働組合に相談する方法もあります。(参照:厚生労働省)

会社組織での通常のルールは、相談相手は上司です。相談することによって上司は、頼られていると思い力になってくれるはずです。しかし、上司が加害者であったり、十分に力になってもらえない場合はどうでしょうか。事業主は相談体制の整備を義務化しています。信頼できる相談窓口を選びましょう。

都道府県労働局雇用環境・均等部(室)への相談

会社に相談しても対応してもらえなかったらお近くの都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へご相談ください。
なお、土日に相談したいとかメールで相談したいことが、あれば「ハラスメント悩み相談室」にご相談ください。
ハラスメント悩み相談室はこちらから https://harasu-soudan.mhlw.go.jp/ (参照:厚生労働省)

公的機関に相談することをためらわれる方もいるでしょう。相談したからと言って、相談者の意向を無視して、いきなり調査などの大ごとにはならないはずです。専門家が適切なアドバイスをしてくれるはずです。注意点としては、公的機関に相談していることは、最初は信頼できる人(口の堅い)を除いて社内では伏せておくことです。会社によっては(その前に被害者に寄り添うべきではありますが)要注意人物とみられる場合もあります。

ハラスメントを起こさない心がけ(まとめ)

ハラスメントの防止の原点は、受け取り側の心に寄り添うことです。会社組織では、上下関係があったとしても、人として対等の意識を持つことです。当人にはそのような意図がなくても、ハラスメントになる場合があります。相手を思いやる気持ちが大事です。例えば、異性に対する視線があります。特に女性の場合は、男性の視線に男性が思っている以上に敏感です。視線一つで、いやらしい人と思われ、その後の人間関係に影響が出ることを再度認識しましょう。

ハラスメントの相談があった時はどのように対応したらよいでしょうか。まず、心がけたいのは決めつけず、しっかりと話を聴いてあげることです。立場や部署によって対応の難しさはあるでしょうが、ほかの人に相談するときは本人の了解の上で行うべきでしょう。相談されるということは信頼の証です。信頼関係の絆を広げて、ハラスメントが起こる組織風土の改善を進め、よりよい職場をみんなで作っていきましょう。

ハラスメント対策については、無料の研修企画相談も承っています。気軽にお問い合わせください。

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