営業業界別の成功ポイント(お客様への提供付加価値とは?)

営業 事業企画

営業は業界別に業績をあげるためのポイントは異なります。本原稿では、業界によって異なる強みの磨き方と、提供付加価値向上のストーリーを記載します。事業を成長させるための重要な方法論を営業の側面から説明いたします。大枠の類型があり、ご自身や取引先の業種に置き換えてご参考いただければ幸いです。

営業の業界別(IT営業・広告営業・コンサルティングセールス)

提案型営業のスパイラルアップ(筆者作成)

お客様ごとの提案型営業を行います。お客様へのお役に立ち情報提供によって、お客様との距離を縮めます。情報を収集して、仮説たてます。課題や要望を聞き出すヒアリングをおこない、提案やサービス提供によって検証していきます。検証結果をもってさらに提供サービスの向上に役立てたり、次なる提案活動に活用します。商品やサービスは、お客様への提案とサービス導入を検証していくことによって、レベルアップを繰り返していきます。営業活動と顧客とのパイプが企業の強みとなる業種です。ITについては、提案活動において上級SE(システムエンジニア)など技術職の参画が必要になります。

営業の業界別(製造業営業)

製造業については商品自体の品質、コスト、納期が会社の顔であり営業の機能を果たすとの言葉があります。個々の営業力よりも、会社としての組織的な取り組みが重視される傾向です。需要予測型と受注生産型があります。

需要予測型製造業

需要予測型は、汎用品です。汎用品は、精度の高い需要予測による生産数の決定と、生産拠点の労働単価によるコスト削減がポイントです。リスク管理には、生産国の事情に応じた品質と労務管理、および需要動向に応じた在庫の管理です。一部のニッチ商品や産業材を除きグローバル大企業の土俵です。ポイントは個々の営業の活動よりも、自社や製品ののブランド力向上や、販売店への販促活動となります。販売代理店管理、広告宣伝部、マーケティング企画部、市場調査部の機能が重視されます。

受注生産型製造業

受注生産型は国内においても多くの製造業が活躍している市場です。お客様のニーズや、利便性、事情に合わせて製品に付加価値をつけて納品します。個々の営業活動が重要です。お客様のニーズをくみ取るヒアリング力、寄り添う姿勢が求められます。お客様の要望を社内やビジネスパートナーに伝え、製品企画や品質向上のため、組織的なチームとして動かす営業のリーダーシップが問われます。成功事例は株式会社キーエンスです。効率的な営業活動量で顧客のニーズを把握し、商品企画に伝え、ファブレス化(他社、他国に生産委託する)でコストダウンした製品を販売しています。

営業の業界別(卸・商社営業)

商流の分析が戦略立案のポイントです。インターネットやスマホの普及により、世界中一瞬に双方向の情報発信が可能になりました。情報格差という利権が失われている時代です。卸・流通は信用供与と商圏という既存のビジネスモデルの見直しが迫られています。業界に淘汰と選別の波が押し寄せています。勝ち残りの条件は以下の通りです。

リテールサポート 

商社ー卸 卸―卸というモデルは衰退し、消費者、エンドユーザーに近い肌感覚が生き残りの条件です。卸・商社にとってのお客様である、小売への提供価値です。まず販売促進や品ぞろえへの提案機能です。小口配送への対応、在庫などの資金負担も小売りへの支援になります。

海外・技術力

貿易における国の価値格差によって、商社は生き残っていましたが、個人でも海外輸入の容易化が進んでいます。資金力を生かしたエネルギーなどのインフラプロジェクトなどに活路を見出したり、技術に関する知見やお客様とのパイプなどの商圏を参入障壁にしています。

シェアと仕入れ力によるメーカー交渉

販売力、商圏を生かしたメーカーに対する交渉力が重要業績指標です。ここにおいても最終ユーザーの目線が大事です。多くのエンドユーザーの動向を、メーカーに要望事項として折衝する機能です。商社・卸の販売力が強い場合は、メーカーは市場にあわせた自己改革を迫られます。逆に言えば、販売力のない場合は、商社・卸は存在意義が問われます。メーカーはエンドユーザーに直接販売すればよいわけです。

営業の業界別(小売り・サービス営業)

直接エンドユーザーに販売します。立地、場の空気感、什器、従業員の接客姿勢、看板、チラシのデザイン、サービスレベル、商品構成、店舗を形作るあらゆる要素の総合力が営業力となります。接客にあたる従業員の教育と動機付けがキーとなります。以下の投稿で説明しました、従業員満足度経営が最もわかりやすく業績につながる業態の一つです。

ただし、ディスカウンターといって、大量に仕入れて店舗の従業員給与などの固定費を抑える業態は、その限りではありません。この業態は、従業員にノウハウがたまらないため、年代の経過とともに新たなディスカウンターの登場によって淘汰される歴史を繰り返します。今後はAIポスレジなどの自動化によるローコストオペレーションと、立地や店舗の開発、撤退戦略の経営戦略部門が重要な業績のポイントになります。

営業の業界別(保険・オフィス機器営業)

企業によって方針も違いますが、業界の傾向として、テレアポや飛び込み営業が多くみられる業種です。提供商品やサービスが、営業の発言力で商品企画に直接かかわることはまずありません。予定された商品のラインナップの範囲内で、お客様の予算や要望に合わせて提供していくスタイルです。数字を上げるのは、まずは見込み顧客接触件数の多さです。これらの商品は、必要な時にそばにいる営業に声をかける性質があります。二つ目に重要なのは、上得意先の確保です。保険であれば富裕層とそのグループに入り込むことが、業績を上げ続けるための条件です。3つ目は提供商品への信念です。お客様のためになると信じることが、断られても嫌がられても、継続するための営業精神を形作ります。

営業の業界別(人材業界営業)

新規開拓については、保険・オフィス機器営業と同様です。ハローワークに求人を出した企業には、人材業界の営業からテレアポが良くかかってきます。人材募集広告については、募集媒体の知識が必要になり、提案力が必要な広告営業に準じます。人材紹介エージェントの場合は、応募人材のスカウトとマッチングのために、人や職業、キャリアプランに対する深い見識が求められます。

まとめ

営業の業界別成功のポイントについてみてきました。共通して言えることは、どの職種についてもそうなのですが、業績目標達成のための強い気持ちと、成長への意思です。成長には、まず優れた業績の営業を、素直に真似ることからはじめます。基礎ができて一定水準まで達した後に、再度自分の強みを洗い出して、独自性をもっていくことが長く成功するため秘訣です。

営業研修については下記投稿もご参考ください。

営業戦略・スキル・マネジメント、あらゆる業種や階層について営業力強化、課題ついての情報や方法論については、下記投稿にまとめています。

コメント

タイトルとURLをコピーしました