新規事業開発 フレームワークとリスク管理

営業 事業企画

企業が成長していくうえで、新規事業開発は避けて通れない道です。現代の時代は、変動のスピードが増しています。インターネットの検索であらゆる情報が一瞬で全世界に拡散され、共有化されます。

以前は通用したビジネスモデルも、情報格差がなくなった現在社会では、あっという間に競争力を失います。本投稿では、加速度が増している現在社会において、新規事業開発のフレームワークとリスク管理について記載します。

新規事業のフレームワーク

アイディアを出す(新規事業フレームワーク①)

新規事業はアイディアがスタートになります。できれば一般論ではなく、自らの体験やユーザーニーズから発案するとよいでしょう。アイディアは複数の視点でみて、実現性や顧客提供価値の観点でブラッシュアップが大事です。

アイディアを出す企画力については、下記投稿もご参考ください。

時代の半歩先を行く(新規事業フレームワーク①)

すべてのおいてですが、進みすぎるものは社会になかなか受け入れられません。

芸術の世界で例を出します。著名な画家のファン・ゴッホの生前に絵が売れたのは、1890年にブリュッセルの「20人展」に出品した『赤いぶどう畑』 (400フラン) 1点のみであったといいます。今ではゴッホの絵は百億円を超えるものもあります。

最先端の技術においても商用になるまでは、時間がかかるのが通常です。しかし、最先端の特許技術は、10年後(製薬業界は数十年後)競争優位の源泉になりますので、基礎技術の研究はコストがかかっても継続するべきです。

時代の半歩先に行った例

移動しながら音楽を楽しむ、ソニーのウォークマン、ノートパソコンと携帯電話を融合した、アップルのスマートフォンがあげられます。いずれも時代の半歩先のライフスタイルを提案して、世の中に受け入れられた商品です。

時代に半歩先をゆくビジネスを開発するためには、ユーザー視点が大事です。現在の生活を半歩先に見据えて、あったらいいなの発想です。ビジネスの成功の要因は、ユーザー目線です。

優れた業績を続けている株式会社キーエンス(自動制御機器、計測機器、情報機器、顕微鏡などの開発および製造販売を行う企業)は、高い社員生産性と徹底した顧客訪問回数にこだわっています。

顧客ニーズをくみ取り製品企画の開発につなげ、生産はファブレスで委託してコストを下げる成功モデルです。ユーザー目線の、あったらいいなの半歩先の発想が成功要因です。

市場調査を行う(新規事業フレームワーク②)

新規事業のニーズや規模を調査します。公的な統計や、調査会社の市場情報を分析します。また、顧客の声をインタビューやアンケートを取るとより具体的な市場調査ができます。

また、競合調査を行う必要があります。検討している新商品について、同様の商品や代替品があれば、どのくらいの値段で、どのくらいの顧客提供価値があるのかを調査します。

新事業の勝算をはかる上で競合調査は重要です。もし、強力な競合がいれば、差別化をはかる必要があります。差別化は、地域に特化する方法、付加価値をつける方法、価格に挑む方法があります。価格に挑む方法は、ファブレス(生産委託)や直販などの流通の見直しなどビジネスプロセスの変革に取り組む必要があります。そうしないと、価格のたたき合いになり、市場自体の価値を下げかねません。薄利多売となり、リスクだけが膨らむ結果になります。

既存顧客に新規商品提供するケースだと、一番有力なのは既存顧客へのニーズ調査です。顧客接点のある営業から、普段から顧客要望を製品企画や経営にレポートを上げる仕組みをつくることが大事です。アンゾフのマトリックスの右上のレンジです。既存事業で顧客を持っている場合は、比較的リスクが低い戦略です。

新規商品の新規市場(右下のレンジ)は、機会が広がる一方でリスクは高いといえます。ノウハウを持った企業の買収や人材の採用が必要です。

アンゾフのマトリックス

ユーザー視点から商品開発を行う活動をマーケティングと呼びます。マーケティングについては、下記投稿もご参考ください。

自らの使命、目的を確認する(新規事業フレームワーク③)

新規事業開発の大半が失敗します。起業した企業の生存年数率(起業の成功率ともいえます)は1年で40%、5年で15%、10年で6%、20年で0.3%、30年で0.02%と言われています。

中小企業白書2017年によると、新規事業が成功したのは29%に過ぎないとのアンケート結果がでています。

新規事業開発はそもそも困難が予想されます。それでも成功させるためには、一つは、なぜその新規事業を行うかという目的の明確化です。経営理念や自らの生きる目的である使命という言葉でも表現できます。

個人事業主であれば、自己実現したいありたい姿、仕事をする意味と表現してもよいかもしれません。

多くの場合、豊かな生活をしたいとか、家族の生活を守りたいということが見られます。それは決して悪いことではありません。ただ間違えてはいけないのは、お金は手段であって目的ではないということです。儲けることを目的として、金もうけを優先しても、従業員や社会を傷つけ、寂しくむなしさが残る経営者も世の中にはいます。

人のためというのが一つあります。家族のため、従業員のため、取引先のため、社会のために事業を繁栄させたいという考えです。遠回りなようですが、巡って自分に還元される王道です。

新規事業を何のために行うかを明確化することが、新規事業が困難に面しても、乗り越える勇気と工夫が生み出されるのです。決してあきらめないことです。しかし、がむしゃらに粘っても傷口を広げる結果になりかねません。どこで、どのような新規事業を行うかの選定が重要です。

自らの強みを確認する(新規事業フレームワーク④)

企業であれ、個人事業主であれ強い分野を伸ばすのが合理的です。新規事業についても例外ではありません。得意な部分を磨きをかけて、新商品やサービスを開発するのが成功の近道です。

強みを洗い出すコツですが、企業であれば、商品が売れる理由とその理由が生み出されるビジネスプロセスです。個人であれば、頑張り抜いてやり遂げ、得られたことです。

強みを洗い出すSWOT分析は、代表的な経営戦略策定方法です。外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の観点で分析します。

SWOT分析については下記投稿もご参考ください。

新規事業計画策定による投資の意思決定(新規事業のリスク管理①)

戦える市場が見いだせた段階で、投資の意思決定を行います。投資は差別化の要因になります。投資の不要な事業はほとんどありません。個人事業で自宅でスタートする場合であっても、自分への教育投資は必要です。投資する際には回収期間を想定します。

もう一つ必要なのはランニングコストのシミュレーションです。売上が上がらなくても必要な経費を想定しておきます。オフィスの賃料、人件費、設備投資の減価償却などです。意外と見過ごされがちですが、個人事業主の場合は、会社員を退職し開業したときの社会保険料の負担を計算に入れる必要があります。健康保険と国民年金で、年間100万ほどは見ておくべきです。将来の年金は国民年金だけになります。その分、経費として計上できて節税にもなる、確定拠出年金や、小規模共済、国民年金基金なども新たに加入した方が良いでしょう。

こうしたコスト算出と把握は、業績の推移をみながら素早く事業の見直しのアクションを起こすために重要です。

事業計画、予算策定については、下記投稿もご参考ください。

撤退基準を定める(新規事業のリスク管理②)

事業には、課題がつきものです。順風満帆に行くことはほとんどありません。知恵を振り絞り困難を乗り越えていく中で、事業のもつ強みは磨かれていきます。

しかし、時の運、事前分析の甘さ、環境の変動のため業績が思わしくない時のために、事前に期限をきめて撤退基準を定めておきます。それがあいまいだったため、ずるずると事業を継続した結果、お金がどんどん流出して借入金の返済が滞り、厳しい状況に追い込まれた事業主は後を絶ちません。経営者の連帯債務のため、経営者の家族まで路頭に迷うことさえあります。

期限を決めることで、その時までに何とかしようと必死になることで活路が見いだせます。それでも何とかならない場合は、きっぱりと撤退するべきです。撤退基準は、個人であれば損失がなんとか今後の人生で耐えれそうな範囲、企業であれば事業継続に重大な支障が出ない範囲に定めます。

企業本体や事業主の人生に破綻をきたさないために、新規事業のリスク管理で最も重要なもののひとつは撤退基準なのです。

新規事業フレームワーク活用の例

私もいくつかの新規事業にかかわってきました。つたない例ですが、twitterでブログから訪問者還元型サイトへの新規事業についての質問がありましたので、回答をさせていただきます。例をとってみましょう

時代の半歩先を行く

システム開発後の具現化する内容で、詳細はまだ機密です。AIと仮想現実を組み合わせるとだけ言っておきます。システムの基本構想は作成済みですが、現在競合はありません。

事業の目的

教育とゲームと、ポイント交流サイトの融合を行います。現在多くの人がゲームに費やす時間とお金を、人の成長に役立つ有意義なものにすることによって、社会に貢献します。

自らの強み

代表個人の強みとなりますが、人事と営業をコアとした、経営改革の経験と知識です。今後人脈ネットワークの構築により、強みの広がりと強化を行います。

市場調査

現在はこのフェーズです。twitterとブログによる集客やニーズ調査です。経営ブログの一点突破でドメインパワーをつけた後、外注化によって範囲を広げます。ブログの集客からAI仮想アプリへの誘導シナリオを作ります。

正直なところまだまだで、SEOの知識も不十分で強化する必要があります。半年後、一年後目標未達の場合は、部分撤退と見直しを行います

システム投資や外注費はできるだけ、ブログの広告や引き合いからくる人的ネットワーク活用、社員研修講師などの売上からカバーすることで、投資のリスクを回避します。

ブログアクセス数と売上の目標値に達した段階で、思い切った投資を行います。投資による撤退基準もあらかじめ策定しています。

新規事業が具現化していくプロセスの中で、今後、詳細をお答えする予定です。なおこの新規事業についての記事は、市場調査の結果、予告なしで撤退削除する場合があります。

まとめ

時代の半歩先を行く新規事業の成功例は、決してすべてあらかじめロジカルに計画が策定されていたわけではありません。ドラッカーも「予期せぬ」が最も成功しやすいと述べています。

例えば、スイスの医薬品メーカーの例があります。人用に開発された抗生物質のニーズが、獣医たちの畜産用の注文という形で顕在化しました。医薬品メーカーの多くは、人用に開発したものだからと拒否しました。スイスの医薬品メーカーは簡単にライセンスを取り、現在では動物用医薬品メーカーの世界の主導的な地位を占めています。

時代の半歩先を行く、市場調査や顧客ニーズの機会をとらえ、事業化することの重要性を示しています。そのうえで、あらかじめ策定した撤退基準に抵触しないように、期限を決めて課題を乗り越えていく姿勢が、新規事業のリスク管理のありかたです。

本記事が皆様の新規事業及びビジネスキャリアにお役に立てれば幸いです。

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