PEST分析(ペスト分析)とは 事例とアフターコロナの外部環境

PEST分析と業界環境営業 事業企画
PEST分析と業界環境

PEST分析(ペスト分析)とは、経営戦略や、マーケティング策定を行う際に用いられるフレームワーク(枠組み)です。 世界に大きな影響を与えた新型コロナウィルスで変動した外部環境について、実際の事例を交えてPEST分析をご説明します。

PEST分析とは

マクロ環境(外部環境)である4つの視点 P: Politics(政治)E:Economy(経済)S:Society(社会)T:Technology(技術)から、それぞれの頭文字の「PEST」分析といいます。

PEST分析は、アメリカ合衆国の経営学者(マーケティング論)のフィリップ・コトラー氏が提唱しました。

コトラー氏は著作「コトラーの戦略的マーケティング」の中で、マクロ環境(外部環境)分析の重要性を、「調査をせずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場参入をしようとするようなものだ」と表現しています。

PEST分析と業界環境
PEST分析と業界環境

P: Politics(政治) 政権交代 法改正通達(規制・緩和) 裁判における判例 税制(増税・減税)

E:Economy(経済) 株価 経済成長率 景気動向 物価(デフレ・インフレ) 為替 金利

S:Society(社会)人口構成密度 少子高齢化年齢構成 流行 慣習 宗教 ライフスタイル 価値観

T:Technology(技術) 技術開発 特許 産業革命 技術ライフサイクル イノベーション

自社に現在から将来にわたってプラス・マイナスの影響を与える要素を分析します。

PEST分析は、自社を取り巻く環境・業界にとってインパクトのある3~10年先の未来についての仮説を立てます。予測から戦略をたてるシナリオプランニングにも活用されます。

シナリオプランニングについては下記投稿もご参考ください。

PEST分析の目的

PEST分析の目的は、中長期的な外部環境の変化が自社に及ぼす影響の把握し、事業戦略・マーケティング戦略へ活用することです。

PEST分析によって、不測の事態への対応するリスクマネジメントも行うことができます。

また競合他社に対する有利なポジションを取る、経営計画を立案することができるフレームワークです。

PEST分析以外のフレームワーク(外部環境・内部環境の情報収集・整理をする枠組み)については下記投稿もご参考ください。

PEST分析の進め方

自社に関係しそうな情報項目を収集し、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)に分類します。

分類した内容を事実(変えられない実際の出来事)と解釈(個別の理解)に振り分けます。誰にとっても異論のない事実をさらに、機会と脅威に分けます。

機会・脅威内容の、時間軸(短期・中期・長期)目線を統一していきます。

PEST分析(ペスト分析)と経営計画

PEST分析の使われ方の例です。

企業や事業の中長期ビジョン・目標を立てるとき、経営戦略やマーケティングプラン策定に用いられます。

PEST分析と経営計画

企業や事業の存在理由、目的である経営理念については下記投稿もご参考ください。

自社のビジネスは、外部環境(マクロ環境)によって大きく左右されます。

外部環境と内部環境を分析したうえで、ターゲット(想定顧客)、事業コンセプト(ビジネスの構想)、マーケティングミックス(4P  製品:Product  価格:Price  流通:Place プロモーション:Promotion を具体化します。

そして、実現するための経営計画(収支・組織人員・設備・資金・営業)を策定します。

行動計画であるアクションプランまで落とし込んだ後は、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)です。

PEST分析の事例

アフターコロナにおけるPEST分析の事例

新型コロナウィルスは世界を一変させました。全世界で、ロックダウン(封鎖)が実施されたり、日本においても緊急事態宣言が発令されました。観光、飲食、輸送をはじめとして企業活動にも大きな影響が出ました。改めて外部環境分析を行う必要性があります。

P: Politics(政治) 緊急コロナ対策として、国民や事業者に給付金が支給されました。企業においても新型コロナウイルス感染症特別貸付が実施されました。その他の雇用助成金が政府、自治体で施行されました。

当面のところ景気の下支えとして、金融緩和や政府の支援策は継続される見通しです。一方、税収や収支バランスの均衡をとるために、財政の引き締めが行われるか、もしくは、インフレが起こる可能性があります。

E:Economy(経済) リモートワークや在宅関係のビジネスがの伸びる一方、外出や会合、イベント関係のビジネスには深刻な影響が出ました。行政の支援の一環として、コロナ融資などで延命した企業も、返済などの未来への負担増加が予想されます。業種によっては、アフターコロナに積極的に投資が行われる業種がある一方で、傷んだ財務内容のため、廃業や守りの経営を余儀なくされる企業がでます。

S:Society(社会)

人との直接接触する機会が元のように戻るのには、相当な期間が必要です。リモート会議や打ち合わせは常態化し、必ず会社に通勤するという概念もなくなります。東京などの都市集中が見直され、本社や営業所の移転も進みます。オフィスの賃料も長期的には下落する傾向が予想されます。SNSやITを通じたコミュニケーションが活発化し、関連のビジネスやライフスタイルが広がります。

T:Technology(技術) 保存・保管、リモート通信技術、運輸関連、AIやロボットの技術の発展が予想されます。直接人を介さない仕組みと技術が発展します。

PEST分析の事例 スマートフォン

P: Politics(政治)

1985年の日本電信電話公社の民営化による日本電信電話(NTT)発足以降、規制緩和によって固定電話、携帯電話事業は認可制、届け出制などの行政の裁量を残しながら、一般企業に開放されました。市場原理が働き、通話料は下落傾向にあるものの、国際比較でまだ高い水準にあるといわれています。通信事業の市場開放の政策トレンドは継続されると予想されます。

E:Economy(経済)

携帯電話の時代には、国内メーカーは国内外にシェアを持っていました。しかしスマートフォンのハードウェアは、アップル、サムスン、ファーウェイに押され、国内においても特化型、業務用などに活路を見出そうとしています。ソフトウェアの汎用オペレーティングシステムにおいてもアップル、アンドロイドの海外勢が市場を席巻しています。今後は、スマートフォンのアプリ事業や、次世代型スマートフォン事業に焦点が当たります。

S:Society(社会) スマートフォンによってどこにいてもつながるインターネット、動画の存在は、電話のみならずメディアの意義を変容させました。伝統的なマスメディア(テレビ・ラジオ・新聞)の相対的な地位は低下し、ユーザー自体がユーチューブやSNSで情報や、コンテンツを配信するようになりました。企画力によるマーケティングが幅広く一般に解放され、大容量、高画質、リアル配信が世界同時双方向で行われる時代が到来します。

T:Technology(技術) AI(人工知能)とIot(モノのインターネット)、ロボット活用によって社会を構成するハードがそれぞれ、意思を持っているかのように稼働する技術が発展します。次世代スマートフォンとして、3D動画受配信、行動・業務ナビゲート、身分認証・決済統合システムの端末統合が予想されます。省エネ、省スペース、素材技術開発により次世代スマートフォンは、ますます多機能でインテリジェンスに利用されます。

PEST分析の事例 (子供向けプログラミング教育アプリ)

P)Politics – 政治

IoT(モノのインターネット)によって、ビジネスが画期的な変革の時期にあります。AIによって高度な判断業務も行える技術基盤ができつつあります。IT人材育成は国の成長戦略にとって欠かせない要素になりました。こうした背景の中、政治面では2020年閣議決定により、小学校でのプログラミングは必修化しました。

E)Economy – 経済

少子高齢化が進む日本では、製造業は新興国の攻勢に押されています。世界的にIT人材の市場は拡大しつつあります。国内においても深刻なIT人材(エンジニア・プログラマー)の不足に陥っています。今後安定した雇用状況を確保するうえでも、IT人材の育成はますます重要となっています。

S)Society – 社会

スマートフォンの普及により、アプリやゲームの需要は拡大しています。IT開発において、子供の手によっても大人に引けを取らない開発を行えたという実績があります。子供たちの感覚で、子供たち自身が使うプログラムを、子供たち自身が開発する必然性が生まれています。

T)Technology – 技術

第4次産業革命

ICT「Information and Communication Technology(情報通信技術)」の発展により、多様な経済活動のビッグデータを、センサー、インターネットなどを通じて集約・分析・活用することにより、新たな経済価値が生まれています。

またAI(人工知能)にビッグデータを分析させることによって、高度な判断を伴う労働やサービスの提供が可能となり、社会問題等1の解決が期待されています。

IT(情報技術)の習得は、ますます子供たちの創り出す未来社会にとって重要になりつつあります

まとめ

PEST分析では、一時的なトレンドと、中長期的なトレンドを分けて考えていきます。新型コロナは、一時的に経済に大打撃を与えました。一方株価は、政策の支えもあり好調を維持ししています。中長期的にみると、ワクチンや各種の感染症対策のためコロナウィルスの脅威と影響は低下すると思われます。経済が正常に戻った時に、財政収支面のバランスや少子高齢化などの長期的なトレンドの中、日本経済の先行きにはまだ大きな課題が残ります。

PEST分析をより具体的に業種や、個別の企業に実情に応じて行い、未来への備えをすることが重要です

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