エモーショナル・インテリジェンス経営 EQによるビジネスの優位性

営業 事業企画

エモーショナル・インテリジェンス経営とは、Emotional Intelligence( 感情知能 EI)を活用することで、仕事に対する姿勢、モチベーション、向上心、創造性、リーダーシップを活発化させるマネジメントの仕組みです。

EQによって人生、組織、仕事の目的や目標実現のために有効活用する方法と、経営の活用しビジネスの優位性を確立した事例について記載します。

エモーショナル・リーダーシップ
エモーショナル・リーダーシップ 筆者作成 

IQとEQ

IQ(Intelligence Quotient)は、人間の知能を数値化したものを指します。「同年齢集団内での位置」から算出される相対評価です。IQは先天的能力とされ、学校の成績との関連が濃いといわれています。

EQ(Emotional Intelligence Quotient)は心の知能指数で、心の知能EI (Emotional Intelligence) を測定する指標です。 EI(Emotional Intelligence)は、1920年、コロンビア大学のエドワード・ソーンダイクが、他人と付き合う能力を「社会的知性」として取り上げたのが最初といわれています。

1980年代後半に、エール大学エールカレッジ学長ピーター・サロベイ博士と、ニューハンプシャー大学教授ジョン・メイヤー博士が、ビジネスでの成功者が対人関係能力に優れていることに着目し、EIの概念の研究が開始されました。EQは学びによって、後天的に能力が向上し、人生の成功に関係が深いといわれています。

EQを向上させる5つの要素と2つの軸

自己認識

自分の感情の動きや性格を言語化することです。自分の価値観、強みを理解します。そのことが他人の感情や性格の理解にも役立ちます。(他人を理解するのは自分から)

自己統制

自分の感情や衝動を抑制することで、周囲の人たちと信頼関係を築くことができます。急激な環境の変化にも冷静に対応することができます。怒りへの対処を行い、最適な選択肢を選んで行動します。

モチベーション

何のために行うかを明確化します。自分の心の中の動機として、達成感を軸にすることができます。他人任せでなく、自ら高い目標を設定して、達成していくことができます。

共感

他人の感情を感じ取ります。不安や、高揚感、モチベーションの状況を把握します。寄り添うことが、信頼関係と形作ります。

リーダーシップ

相手の立場で物事を把握し、思いやりの心をもって接することです。メンバーの感情を正しく導くことで、組織自体を良い方向へ導きます。

以上の5つの要素の軸は2つあります。一つ目は目的です。目的意識が、モチベーションと自己統制、自己認識の源となります。二つ目は、傾聴です。傾聴は、共感とリーダーシップという他者とのかかわりの中の根幹となるスキルです。

傾聴のスキルについては下記投稿もご参考ください。

傾聴のスキル 最強コミュニケーション活用シーン 
傾聴のスキルは、対人関係コミュニケーションの万能薬です。「人は、しゃべるのが上手な人よりも、自分の話をしっかり聴いてくれる人に好感を持つ」ものです。じっくり話を聞いてくれる相手の方が、心地よい時間を過ごせます。傾聴のスキルを発揮する方法とシーン、トレーニングについて記載します。

エモーショナル・インテリジェンス経営の活用事例

アメリカン・エクスプレス・フィナンシャル・アドバイザーズ(現アメリプライズ・ファイナンシャル)

課題

同社の「フィナンシャル・アドバイザー」という職種の社員が。様々な金融商品を顧客に販売していました。しかし様々な金融商品のうち、73%のお客様が購入を見送るなど、生命保険の販売が目立って不調でした。

原因

プロジェクトを組まれ、調査した結果、フィナンシャル・アドバイザーは、顧客に生命保険をお薦めすることに不快感を持っていたことがわかりました。罪悪感や羞恥心を持つ者もいて、積極的な生命保険の販売を取り組んでいなかったのです。

EQを向上させるプログラムの実施(3日間)

フィナンシャル・アドバイザーたちが、今まで以上に自分や他者の感情を察することができるようになることを目的としたしたプログラムを実施しました。Google で開発された人材育成プログラム SIY (サーチ・インサイド・ユアセルフ) です。「5つの要素」(自己認識・自己制御・モチベーション・共感・コミュニケーション)に着目し、「心と思考力」を科学的アプローチで強化するプログラムです。

結果

翌年、研修を受けた人の売上高は、研修を受けなかった同僚より上回る成績を記録しました。

その後の問題

その後マネージャー向けのプログラムが開発されました。しかし、心理学の講義の時間が長く、ビジネスの実態に合っていないと不評でした。

解決策

職種やビジネスプロセスに合わせて、プログラムを変更しました。これらのトレーニングをうけた結果、15か月間にわたって売り上げが11%以上伸びたチームもあります。参加者の91%、リーダーの88%が仕事に役に立つと報告しています。年間2億ドル以上の増収が見込まれているとのことです。

参照:2001年11月「組織優秀ジャーナル21」 キャリー・チェルニスラトガース(ニュージャージー州立大学)

事例の考察

生命保険の販売だけでなく、自らの商材についてネガティブな感情があると成績は伸びません。日本の大手生命保険会社も自社のセールスへの教育の根幹の一つとして、自社商品への愛着と誇りをもつことに力を入れています。教育を素直に受け入れて、お客様に自信をもってお勧めする営業パーソンが業績を上げています。

また、教育プログラムは複雑で責任が重い職種ほど、クオリティの高さが求めれれます。一般論や学問的ではなく、より実際の業務プロセス、職務にあった形にカスタマイズされた研修が求められます。

株式会社LIFE CREATE

合言葉:人生を愛そう 果たすべき使命:自分を、輝く女性を創る。

女性専用のホットヨガスタジオ、フィットネス、ボディメイクスタジオを事業としています。2008年設立し、店舗数75店舗 従業員582人 2019年売上47億と急成長している企業です。

理念浸透率が極めて高く、離職者が非常に少ない企業です。その理由のひとつとしてあげられるのが「感情を人に共有する分かち合い」という最先端の社員研修です。

プログラムでは仕事、プライベートでの出来事、過去の感情をシェアして分かち合います。弱みも分かち合い、仲間からフィードバックを受けることで、弱みであると思い込んでいた部分が「強み」であることに気が付き、参加者が「人という存在の存在のすばらしさ」に心を打たれ、涙と感動の渦に包まれることがあるそうです。

例えば「人前で意見をしっかり言えないこと」が弱みであると思っていたが、「他者を思いやる力が高かったり、人を見る洞察力が高い」などの深い本質(能力)に気づくことができ、「本当は自分がどうしたいのか?、自分の役割は何なのか」というWill(ウィル)を発見できるようになります。組織全体で、Will(ウィル)を支援し実現していくことで、個人とメンバーの成長を促し、最終的に組織の飛躍的な成長を実現させてます。

 また「人生を愛そう」という企業理念のもとに、一日徹底的に遊んでよい『遊ぶ日』の制度もあったりなど、社員の自己実現と感情レベルをうまくマネージメントできる最先端の仕組みが豊富です。

引用:経済界 西 剛志 脳科学者(工学博士)、分子生物学者。T&Rセルフイメージデザイン代表

まとめ

エモーショナル・インテリジェンス経営は、人の感情に向き合い、共有化し、昇華させるプログラムを活用する経営です。事例でも見てきたように、社員教育プログラムとして行われています。感覚を共有し、気づきを得ていくプロセスは、実際に業務にもよい影響を与えることが証明されています。

社員の自己実現の思いと、企業の成長とのベクトル合わせにおいて、感覚の共有化を経営に活用することが競争優位のためにも重要となっています。

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