OKR(目標と成果指標)とは 具体例と先端企業の事例

OKRとは営業 事業企画

OKRとは、 目標と成果指標(Objectives and Key Results)の略称です。 インテル、グーグルなどシリコンバレーのハイテク企業に採用され、急成長を支えてきました。社員に優先順の高い業務に集中させ、社員の成長を支援するOKR(目標と成果指標)について、先端企業の事例と具体例を紹介します。

OKR(目標と成果指標)とは(歴史、定義)

OKR(目標と成果指標)の由来であるMBO(目標管理制度)

OKR(目標と成果指標)の歴史は、マネジメントの父と称されるピーター・ドラッカー(1909年~2005年)の提唱した目標管理(MBO:Management by Objectives)にさかのぼります。

ピーター・ドラッカー は著作「現代の経営」の中で、「目標管理(MBO)の最大の利点は、支配によるマネジメントを自己管理によるマネジメントに置き換えることにある」としています。

MBOはアメリカの心理学者、経営者であるダグラス・マグレガー(1906年~1964年)が提唱したした、XY理論のY理論が根拠の一つとなっています。

Y理論は、本来人間は、仕事が好きである性善説にもとづいています。人間は自ら責任を取って、進んで問題解決にあたろうとする自主性を活用します。

対して、X理論は本来人間は怠け者で、強制されたり命令されなければ仕事をしないとする性悪説です。

ドラッカーは、Y理論を一つの根拠として、目標管理(MBO)を提唱しました。

目標管理(MBO)は自分で目標を決めて取り組むことで動機付けを行い、それを企業の成果につなげるマネジメントの手法です。

マネジメントについては下記投稿もご参考ください。

マネジメントとは

OKR(目標と成果指標)の登場

世界トップクラスの半導体メーカーIntel Corporation(インテル)の3番目の社員であり、元会長兼CEOのアンドルー・スティーヴン・グローヴ(1936年~2016年)が、OKRを1970年代に提唱したとされています。

当時のインテルでは、「社員に優先度の高い業務に集中する」 という課題があり、OKRを導入することで解決しました。

インテルで働いていたベンチャー投資家のジョン・ドーア(1951年6月~)が、出資していた創業期のグーグルにOKRを紹介しました。グーグルがメモリメーカーからマイクロプロセッサ メーカーへの転換を図ろうとしたときです。「社員に優先順位の高い業務に集中してもらうため」にOKRは採用されました。OKRは、グーグルが急成長を遂げる中、マネジメント手法として定着しました。

また OKRは 、ソーシャルネットワーキングサービスの「Twitter, Inc」「Facebook, Inc.」 バケーションレンタルのオンラインマーケットプレイス「Airbnb, Inc.」など、最先端のIT企業が集結するシリコンバレー企業の多くに採用されています。

MBOに対するOKR(目標と成果指標)の特徴

目標(Objectives)に対して成果指標( Key Results )を2~5設定します。 成果指標( Key Results ) は数値で測れるものとし、0.0~、または%で採点(スコアリング)します。

成果指標 ( Key Results ) は多すぎると、焦点が定まりません。成果指標 (Key Results) は、エネルギーを集中させるため多くて5つくらいまでとします。

達成の自信度は10点中5点の設定を行い、60%で成功とされるように高い目標を掲げます。

レビューの頻度

MBO(目標管理)の多くが、年次や半期スパンです。一方ビジネスのスピードが速いIT企業では、OKR(目標と成果指標)は四半期に一回や月次に設定されます。

目標設定

OKR(目標と成果指標)は一般的に、SMARTの法則をもって設定されます。

SMARTの法則

Specific:具体的に、分かりやすい

Measurable:測定可能な、数字になっている

Achievable:現実的な、達成可能な

Relevant:経営目標との関連

Time-bound:時間制約がある、期限が明確、今日からやる

SMARTは5つの頭文字をとり、目標を達成の精度を高める要素を表しています。

OKR(目標と成果指標)の具体例

目標 (Objectives)具体例 〇〇事業をトップシェアに引き上げる。

成果指標(Key Results)具体例

××の新機能をリリースして、△か月後の販売額を×億円達成する。

アフターメンテンナンスのコールセンター機能を充実させ、リピートオーダー率を×%以上保持する。

営業生産性を〇%向上させ、△か月後までに新規顧客を××件以上獲得する。

目標(Objectives)具体例 A事業の粗利額〇〇億円を達成する。

成果指標 (Key Results)具体例

顧客のアップセルを〇%達成する。

成約率を×%上昇する。

プロセスの自動化により、1人あたりの月残業時間を10%短縮する。

目標(Objectives)具体例 新卒離職率を〇%以内に抑える

成果指標 (Key Results)具体例

従業員満足度を×%アップさせる。

1on 1実施率前年度比×%アップさせる。

プロセスの自動化により、1人あたりの月残業時間を10%短縮する。

OKR(目標と成果指標)事例のグーグル

グーグルでは、OKR(目標と成果指標)を気後れするほど高い目標に設定します。

自身が可能と考えるより、高い目標( ストレッチ ゴール )を掲げます。達成率は60%~70%を目安とし、100%達成した場合は目標自体の設定が低すぎるか、驚異的な成果を成し遂げたとされます。

野心的な目標によって、殻を破り予想外の成果を上げたり、失敗や成功体験を振り返ることで、仕事の優先順位をつけることを狙いとしています。

100%を達成率の基準として、人事評価にも活用されるMBOとの相違点です。

OKRは、組織のあらゆるレベルの従業員が提案して決めます。1 年単位と四半期単位で OKR(目標と成果指標) を設定し、 1.5ヶ月に1回OKRが検証されます。

OKR(目標と成果指標)は組織で共有化され、互いの進捗状況が分かるようにします。

全社を対象としたミーティングを四半期に一度開いて OKR (目標と成果指標)の公開と評価を行っています。

元 Google 社員で Twitter の CEO も務めたディック コストロ氏は、

「Google で学んで Twitter に応用したものといえば OKR(目標と成果指標)です。何が重要か、そして何が重要かをどう判断するかを、すべての社員が理解できる優れた方法です。」

と述べています。

参照:Google re:work

OKR(目標と成果指標)事例 株式会社メルカリ

フリマアプリ運用しているメルカリは、2015年にOKR (目標と成果指標) のを導入しました。

会社が急成長する中で、会社の目標と個人の目標の結びつきをOKR (目標と成果指標) で行いました。

メルカリは、3つのバリューを掲げています。

Go Bold(大胆にやろう)

All for One (すべては成功のために)

Be Professional (プロフェッショナルであれ)

メルカリのバリューに準じて、OKR (目標と成果指標) では自身が可能と考えるより、高い目標( ストレッチ ゴール ) を設定します。基本的には人事評価制度と結びついていません。

会社の目標(Objective)を達成するために、社員一人一人が成果指標(Key Results) を持ちます。

成果指標(Key Results)は、集中できるようにシンプルなものにします。

マネージャーとの1on1ミーティングで、「達成は容易ではないか」「わくわくする目標か」という点を特に話し合い、大胆で挑戦的な目標を設定できるようにします。

OKR (目標と成果指標) を設定したら、 週の初めに、チームでチェックインミーティングを行います。 成果指標(Key Results) の進み具合、優先度や達成までの課題を共有して仕事をスタートします。

週の終わりには、ウィンセッションを行います。プロダクトや獲得したリストなど、チームごとに成果物を出し合って祝います。

OKR (目標と成果指標) は、3か月ごとに見直しと評価を行います。

2013年2月1日に設立し、2015年にOKRを導入したメルカリは、2021年6月期には、売上106,115百万円、営業利益5,184百万円、従業員数1,752人まで急成長しています。

1on1ミーティング については、以下の投稿もご参考ください。

まとめ

OKR (目標と成果指標) は、組織と個人の目標と成果指標を共有化し、社員に優先順位の高い業務に集中させるマネジメント手法です。

人事評価にありがちがな達成率を評価するのではなく、高い目標を掲げ社員の成長を促すことができます。

課題や目標を組織で共有化し、エネルギーを集中させ進化させるOKR (目標と成果指標) は、優れたマネジメント手法として今後も活用が広がるでしょう。

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