1on1ミーティングとは アジェンダ事例・目的・メリット

1on1人事 キャリア
1on1

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で行う対話です。1on1ミーティングのアジェンダ(テーマ)や、事例、目的、メリットについて解説します。

1on1ミーティングは、通常、週に1回~月に1回実施します。実施時間は30分程度の運用が多いです。「短いサイクルで定常的に実施する」ことと「評価面談と違い部下の育成が目的」なのが、1on1の特徴です。

1on1ミーティングは、上司が部下の育成のために行うマネジメントの有効な手法として、インテル、マイクロソフト、グーグル、ヤフーなどの外資系IT企業や、パナソニック、日清食品、ソニー、クックパッドなど日本企業にも導入されています。

  1. 1on1ミーティングの目的
    1. 従業員エンゲージメント・マネジメント品質の向上
  2. 1on1ミーティングのアジェンダ(テーマ)事例
    1. アジェンダ事例(業務について)
    2. アジェンダ事例(ミッション、ビジョン、バリュー、戦略の共有化)
    3. アジェンダ事例(キャリア・部下の成長)
    4. アジェンダ事例(プライベートや価値観)
    5. アジェンダ事例(心身の健康・モチベーションについて)
    6. アジェンダ事例(目標設定・評価)
  3. アジェンダ事例(部下に話すことがないと言われたときの対応)
    1. 部下がアジェンダを考えてくれない
    2. アジェンダがあっても、口を開いてくれない
      1. 閉ざされた質問(クローズドクエスチョン)
      2. 開かれた質問(オープンクエスチョン)
      3. ミラーリング
  4. 1on1ミーティングの背景
    1. VUCA時代
    2. 少子高齢化社会
  5. 1on1ミーティングのメリットと注意点
    1. メリット:社員が自分自身の才能を発見する
    2. メリット:上司と部下の相互理解・信頼関係
    3. メリット:部下のモチベーションの向上、離職の低下
    4. 注意点:人事評価面談との区別
  6. 1on1ミーティングの事例
    1. インテルの事例(アジェンダの有効活用)
      1. 事前のアジェンダを用意する(3つの切り口)
        1. アジェンダ例(業務について)
        2. アジェンダ例(キャリアについて)
        3. アジェンダ例(プライベートや価値観について)
      2. キャンセルでなくリスケジュール
      3. メモを取り、前回の振り返りを行う
      4. 適切な質問を行い、上司の時間の8割は、話を聞く時間にする
    2. ヤフー株式会社の事例
      1. コーチング
      2. ティーチング
      3. フィードバック
      4. 効果
  7. 1on1のセッティングについて
    1. 「ネーミング」の工夫
    2. アジェンダにあった場所を決める
    3. 1on1ミーティングの記録をとる
    4. 上司と部下とのコミュニケーションにおける1on1 ミーティング
  8. まとめ

1on1ミーティングの目的

目標管理制度(MBO)などによる評価面談や、注意事項や問題点の指摘を行う管理と違い、1on1ミーティングは、部下の成長を促進することが目的です。部下の課題や悩みに寄り添い、能力を引き出す「部下の成長のための時間」です。
したがって、1on1ミーティングでは、部下が話してよかったと思えることがまず目標となります。

また、「上司が部下を育成すること」を通じて、「上司自身がマネジメントスキルをつけ成長する」ことも目的となります。

1 on 1 上司部下相互成長
1on1ミーティング目的 部下の育成を通じて上司が成長する 筆者作成

従業員エンゲージメント・マネジメント品質の向上

1on1ミーティング実施により、上司と部下の関係性をより近くして、良好な社内コミュニケーションを保つことができます。上司や部下は、1on1ミーティングを通じて自らの成長を実感することができ、仕事に対する充実感を感じることができます。

また経営の目的・目標・社会性・戦略(経営理念、パーパス、MVVなど)の浸透にも役立つことから、何のために仕事をしているかを再認識することによって、モチベーションの向上にも役立ちます。結果として従業員エンゲージメントやマネジメント品質が向上します。

従業員エンゲージメントについては、下記投稿もご参考ください。

1on1ミーティングのアジェンダ(テーマ)事例

1on1ミーティングは、アジェンダ(テーマ)によって効率的に行うことができます。以下がアジェンダ(テーマ)例です。

アジェンダ事例(業務について)

現状の業務課題について話し合います。互いの課題認識のすり合わせが重要です

・前回1on1ミーティング取り決め事項の実施状況(部下)

・良かった点、今後さらに良くするためのアドバイス(上司)

・次回のミーティングまでの業務目標(部下)

・フリーディスカッション(上司・部下)

・次回ミーティングまでのコミットメント(部下)

シンプルですが、繰り返し使えます。上司はダメ出しをしないようにします。また業務の進捗を確認するときに、プレッシャーをかけないようにします。部下が委縮してしまい、1on1ミーティングの効果が薄れるからです。上司に対する要望事項や業務課題を聞き、前向きに部下を支援する姿勢を貫きます。

アジェンダ事例(ミッション、ビジョン、バリュー、戦略の共有化)

組織におけるミッション(使命、経営理念など)、ビジョン、戦略について、ディスカッションします。従業員にとってはミッション、経営理念、パーパスなどは既知の事項ですが、日ごろの業務や行動に浸透することが重要です。自らの仕事の社会的意義や、目的を振り返ることによって、動機付けとなります。また1on1ミーティングで、組織や部門の戦略を共有化し、ブラッシュアップすることは、紙面上で指示されるよりもより有効な戦略実行プログラムとなります。

・ミッション、ビジョン、バリューと、業務の関係について(上司・部下)

・今期の目標・方針について(上司・部下)

・実現するための戦略について(上司・部下)

・具体的なアクションプランについて(上司・部下)

・これまでのアクションの振り返り(上司・部下)

戦略の共有化は、上司より一方通行は避けるべきです。上意下達の組織運営の場合もありますが、1on 1ミーティングにおいては、できるだけ部下の同意やアイディア、思いを引き出すことが大切です。

パーパス、ミッション、ビジョン、バリューについては、下記投稿もご参考ください。

アジェンダ事例(キャリア・部下の成長)

ありたい姿、あるべき姿を思い描くことは、部下の成長にとって欠かせない要素です。

・自分の強みについて(部下)

・部下が認識している強みについての見解や助言

・将来のあるべき姿(部下)

・あるべき姿に対する助言、見本とすべき人物像について(上司)

・あるべき姿に対する現状の姿の認識(部下)

・客観的に見た部下の現在の姿と助言(上司)

・あるべき姿に対する現状の課題と今後の取り組み(フリーディスカッション)

・成長への取り組み(部下)

あるべき姿を引き出すために、上司は部下との信頼関係を結ばなければなりません。漠然としている場合は具体化するために、ミーティングを重ね、部下の意欲を引き出す必要があります。

あるべき姿の引き出し方については下記投稿もご参考ください。

アジェンダ事例(プライベートや価値観)

プライベートについては、すべて話したくない場合もあり距離感に対する配慮は必要です。部下の価値観を理解して、よりよい関係づくりを目指すという目的をお互いに認識することが重要です。会話をスムーズにするために「週末何をしていたのか」という事実があり、こたえられやすい事項からスタートする方法もあります。

・最近の楽しかったこと、悲しかったこと(部下)

・フリーディスカッション(上司・部下)

・趣味や、熱心に取り組んでいることについて(部下)

・フリーディスカッション(上司・部下)

・大切にしていること、こだわりについて(部下)

・フリーディスカッション(上司・部下)

フリーディスカッションは、できるだけ部下の目線で寄り添う形にします。但し、雑談に終わらないように、部下の価値観までの理解が重要です。そのため上司は部下の考え方を受容して、会話を深めていきます。部下の感覚や考え方の根源にある価値観を理解に努める姿勢です。

アジェンダ事例(心身の健康・モチベーションについて)

心身の健康・モチベーションの1 on 1は、部下自身の問題のアジェンダです。部下が主体的に話をするような場を心がけることがより必要です。

・業務過多になっていないか、体調の変化を感じていないか

・仕事は会社で完結できているのか、家に持ち帰っていないのか

・業務上不安や心配になっていることはないか

・社内で承認されていると感じられているのか、上司は見てくれていると感じられているか

上司は、部下の育成を行うために、部下に自発的に成長の意欲を持ってもらうためのコーチングと傾聴のスキルを身につけます。1on1ミーティングの目的は部下の育成ですが、部下を育成する上司こそが、人材育成の力をつけなければなりません。1on1ミーティングはそのための絶好の機会なのです。

傾聴のスキルについては下記投稿もご参考ください。

アジェンダ事例(目標設定・評価)

業務の目標に関する1on1ミーティングは、組織としての目的・目標と、部下の自発的な動機付けとの調整が必要です。決められた目標を押し付けるだけでは、部下の力を引き出すことにはなりません。部下が納得をして、前向きに取り組むことができる目標設定と評価を心がけます。

・部下自身が自律的に立てた目標のヒアリング

・目標に対する課題と助言

・会社・組織方針の伝達と意見交換

・組織目標と自律的な目標とのすり合わせ

・よりよく業務目標を達成するために、部下と上司のアクションプラン

部下の立場を理解しながら、組織としての要求事項に至る背景や必要性も伝え、双方がWin-Winとなれるような取り組み姿勢になるようにします。

1on1イメージ
1on1イメージ

アジェンダ事例(部下に話すことがないと言われたときの対応)

1on1ミーティングの目的を振り返ります。すなわち「部下の成長のため」を通じて「マネジメントとしての自分も成長する」ことです。部下の反応が冷たくても、目的のために粘りづよく冷静に対処します。

部下がアジェンダを考えてくれない

部下の主体性を引き出すため、部下にアジェンダを考えさせてみても「話すことがない」と言われたときの対処です。まず、1on1ミーティングの目的を丁寧に説明します。それでも部下からでないときは、アジェンダを例示して、選択させるようにします。

アジェンダがあっても、口を開いてくれない

あらかじめ決めたアジェンダがあっても、部下にアジェンダを考えさせても、積極的に話そうとしない場合があります。まず、部下が話さない理由の把握が重要です。1 on 1は、行うこと、話すことが目的ではありません。部下の成長を支援することが目的です。

上司が無理に話さないことです。沈黙の時間が耐えられず、上司が一方的に話すことは避けたほうが良いでしょう。まず、部下の様子を観察します。疲れているのか、心を閉ざしているのか、単に話題が尽きているのか、何か悩みがあるのか。

質問することによって、部下が話を再開してくれることがあります。質問攻めにしないように、話を聞き出しましょう。心を開かせる質問の技法については、以下のものがあります。

閉ざされた質問(クローズドクエスチョン)

「はい」か「いいえ」で答えられる質問です。簡単に答えられるため、負担が少なく口を開けやすい利点があります。「前の部署に比べ、残業が多いですか」と答えが決まっている質問です。物事をはっきりさせたい時にも使います。一方、考えさせないことが多いため、話題が広がらない注意点もあります。口を開かせて、次の開かれた質問も利用する良いでしょう。

開かれた質問(オープンクエスチョン)

「仕事の上での、自分の課題だと思うことはありますか?」など自由に答えられる質問です。部下の、思いにもよらない話が出たり、情報が得られ、話を広げ、新たな視点や聞き出すのに役立ちます。

質問力について詳しくは、下記投稿もご参照ください。

ミラーリング

ミラーリングは、自分に似た人、ものに対して好感をいただきやすい心理のことを言います。部下に無理合わせると不自然になりますが、例えば会話のスピードがゆっくりであれば、話すペースを落とす、相手が笑ったらこちらも笑うといったことによって、閉ざされた部下の心を開くことに役立ちます。ミラーリングは相手のことをよく観察しないとできないため、部下のことの理解促進にも役立ちます。

1on1ミーティングの背景

VUCA時代

Volatility(変動性・不安定さ)Uncertainty(不確実性・不確定さ)Complexity(複雑性)Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の頭文字をとって、VUCA時代と言われています。

先行きが不透明で、将来の予測が難しい現代は、上司が必ずしも正解を持っているとは限りません。

また、インターネット社会においては、若者がより情報通である場合もあります。上司と部下が相互尊重し、力を合わせて課題解決に努めていく必要性が高まっています。

1on1ミーティングは時代に対応するために、「自分で考える社員を育成したい」企業のニーズにこたえています。

少子高齢化社会

出生率が低下し、日本の生産年齢人口(15歳~64歳)は、ピークであった1995年以降減少を続けています。経営を存続させるために、労働力確保と一人当たりの生産性を高めなければなりません。ミレニアル世代(2000年以降に成人・社会人)では「否定されること」や「厳しい環境で耐える」という考えは少数派です。短所を指摘するのではなく長所をのばし、自分の好きなことや環境で働きたいという価値観への対応も、1on1ミーティングが活用されている背景です。

1on1ミーティングのメリットと注意点

メリット:社員が自分自身の才能を発見する

後述するヤフー株式会社の事例での通り、1on1ミーティングでは「社員の才能を解き放つ」ことを重要視しています。

1on1ミーティングでは経験学習を促進し、自らの才能に気づく情熱あふれる職場にすることを目指しています。

上司との対話を通じて部下は自分のやりたいこと、現状の仕事の課題を見出し、「本当の自分」に気づくことができます。

メリット:上司と部下の相互理解・信頼関係

1on1ミーティングによって、上司と部下のコミュニケーションが密接になり、相互理解が深まります。上司は、部下の悩みや課題、業務内容についての理解が進み、適切なマネジメントを行う材料ができます。

メリット:部下のモチベーションの向上、離職の低下

部下の意見や思いを上司が理解することで、部下はしっかり見てもらっていることを感じます。部下の工夫や努力を上司がみていることは、部下のモチベーションが向上につながります。仕事にやりがいが生じ、離職率の低下にも役立ちます。

注意点:人事評価面談との区別

MBO(目標管理制度)では、半期ごとなど評価面談を行います。評価面談は人事処遇に直結するうえに、部下の問題点の指摘や他者との比較など、重たい空気が流れがちです。

一方1on1ミーティングは、週に1回~月1回の頻度で実施します。実施時間も30分程度に設定する企業が多く、短い頻度で定常的に実施するために、上司と部下の距離が近くなる特徴があります。

指示命令系統という意味合いの上司と部下の関係だけでなく、上司と部下の相互成長の場ととらえることで、風通しがよく、コミュニケーションが活発な組織を生み出すことができます。

1on1ミーティングと同様シリコンバレーの先進企業で採用され、MBO(目標管理)と異なり、人事評価に結びつかず、高い成果と成長を目指すOKR(目標と成果指標)については、下記投稿もご参考ください。

1on1ミーティングの事例

インテルの事例(アジェンダの有効活用)

1on1ミーティングが注目されたのは、世界トップの半導体メーカ、インテルの元CEOアンドリュー・グローブ氏(インテルの3番目の社員)の著書「人を育て、成果を最大にするマネジメント」がきっかけでした。

以下参照文献:アンドリュー・グローブ氏「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」

 アンドリュー・グローブ氏は、マネージャーの最も重要な仕事は「部下から最高の業績を引き出すこと」としました。1 on 1 ミーティングは、に部下の「訓練」を行い、キャリア開発の相談を通して部下の自己実現を支援して「動機」を高めることを目的としています。

標準的な頻度は隔週、時間は60分~90分程度ですが、上司部下の状況により適切な設定をします。以下実施のポイントを記載します。

事前のアジェンダを用意する(3つの切り口)

より重要な話題が出たときには差し替えるなど、アジェンダにこだわりすぎない柔軟性は必要ですが、無駄な時間を過ごさないために、事前に話す内容の項目は準備しておくべきです。

アジェンダは、ミーティングの目的を明確にするうえでも効果があります。議題を整理し、時間配分を見積もることができます。上司と部下双方は、アジェンダを見ながら進捗管理することによって、ミーティングの質を上げることができます。

アジェンダ例(業務について)

①今取り組んでいるテーマ②課題や困っていること③上司が力になれることがないか

直接的な業務についてです。上司は、指示するのではなく、共通の業務目標に向かって部下を支援するという立場を持つとより、前向きなミーティングになります。

アジェンダ例(キャリアについて)

①実現したいキャリア②直近で一番力をいれた業務③自身の強み・弱み④今の業務でのやりがいや、大切にしていること⑤今後のキャリアの希望や方向性、それに対する課題など

部下の将来像について、話し合います。上司は、部下のあるべき姿について、ビジョンを共有し寄り添う立場でいると、部下の成長意欲を引き出すことができます

アジェンダ例(プライベートや価値観について)

①プライベートに関する話を聞く(週末何をしたか等)②その出来事に対する感情を聞く(楽しかった?)③価値観を探る(何をしているときが楽しい?)

部下の価値観を知ることが、仕事観のすり合わせに役立ちます。また、ストレスによる精神疾患の予防にも役立ちます。プライベートにおける助言を行うことが、職場の精神安定につながることもあります。

キャンセルでなくリスケジュール

 多忙を理由にキャンセルを繰り返すと、互いに1 on 1ミーティングの優先順位が低くなり、形骸化してしまいます。やむ得ない場合もその場でリスケジュールするべきです。

メモを取り、前回の振り返りを行う

 メモをとり、ミーティングで話したこと、取り決めたことについて後日進捗を確認します。言っただけにならないように、ミーティングを効果的なものにするためには重要です。メモを取るのは、上司と部下と双方で、内容については相互確認すると認識違いを防止できます。

適切な質問を行い、上司の時間の8割は、話を聞く時間にする

 1on1 ミーティングの意義は、適切な質問を行い、部下の深い情報を聞き出すことにあります。深い情報を把握していることによって、適切な相談や方向について協議が行えるのです。質問についての切り口は以下の通りです。

以上参照文献:アンドリュー・グローブ氏「HIGH OUTPUT MANAGEMENT」

①目標について(長期・短期)②会社の改善について③自己改善について④マネージャーの改善について⑤幸福について⑥個人的な生活の問題について⑦チームリレーションについて⑧仕事の習慣について 

参照:ジェイソン・エヴァニッシュ氏のブログ
ミーティング
ミーティング

ヤフー株式会社の事例

Misson:UPDATE JAPAN 情報の力で日本をもっと便利に

Vision:世界で一番便利な国へ

人材育成の基本方針:社員の才能と情熱を解き放つ

以下参照文献:間浩輔氏「ヤフーの1 on 1」ダイヤモンド社刊

1 on 1の定義:「部下のための時間」としています。

頻度、時間:毎週1回 30分

ネージャー(上司)はコーチング研修を受けて「傾聴」のスキルを学びます。部下の思いや考えを引き出すことを主眼としています。対話を通じて、進捗確認と問題解決をサポートし、目標達成支援と成長支援を行います。

コーチング

マネージャー(上司)は部下に、問題解決を促す行動をさせるような質問をします。「その根本的な原因はなにか」「どうして今回はうまくいったのか」「どうやったらもっとうまくいったのか」「今回の成功で学んだことはなにか」などを問いかけます。部下に考えさせることで、成長を促します。

1on1を通して、上司は部下の学びを深めるための支援を行う。部下が話をしながら、自然と学びを進化させることが基本だが、より積極的な働きかけをすることもできる。上司からの働きかけには上記3つがある。 ・コーチング=部下が自力で答えを見つけるためのサポート ・ティーチング=上司が答えを持っていて、かつ部下にとっては単に知っていればよいことを教える ・フィードバック=「耳の痛いことを部下にしっかりと伝え、彼らの成長を立て直す」(中原淳著「フィードバック入門」)
部下の学びを深める3つの働きかけ

ティーチング

部下にない知識を教えます。場面に応じて、コーチングとティーチングの使い分けを行います。

フィードバック

失敗を失敗だと認めさせたり、周りからはどう見えるかを素直に伝えたりする方法です。次の成長へとつながるようにし、人格の否定にならないようにします。

効果

ヤフーでは「経験学習の促進」と「社員が自分の才能を自分で発見する」ことができたといいます。

以上参照文献:本間浩輔氏「ヤフーの1 on 1」ダイヤモンド社刊

コーチングとティーチングの違いについて詳しくは、下記投稿もご参考ください。

1on1のセッティングについて

対話の場である1on1は工夫して話しやすい雰囲気を作ります。以下が1on1のセッティング方法です。

「ネーミング」の工夫

1on1ミーティングの呼び名で部下の参加意欲に影響します。「個人面談」などだと構えてしまします。本田技研工業株式会社は、商品開発会議「ワイガヤ会議」という名前をつけ、参加意欲を促しました。「成長会議」というネーミングで運用している会社もあります。

アジェンダにあった場所を決める

プライベートや趣味などについては、一緒に散歩やオープンスペースがよいでしょう。将来やキャリアについては、明るい部屋を選びます。ハラスメントや退職など深刻な相談であれば、機密が守れる場所にします。アジェンダにあったシーンを用意することを心がけます。

1on1ミーティングの記録をとる

1on1ミーティングは、記録を取り継続して振り返りを行うことが大事です。議事録作成に時間や力を注ぐ必要はありませんが、話した内容の概略や決定事項についてはメモを取って、後ほど参照できるようにするようにします。思わぬ時に、記録が役立つことがあります。

上司と部下とのコミュニケーションにおける1on1 ミーティング

緊急度が高く、重要な事柄は、リアルタイムで報連相(報告・連絡・相談)を行います。緊急度が高いが重要でないものは、事後報告を行います。重要でも緊急でもない事柄は、部下に任せます。

1 on 1ミーティングの活用 アジェンダへの活用 
1 on 1ミーティングの活用 アジェンダへの活用 筆者作成

重要度が高く、緊急度が高くないものは、定期的な1on1ミーティングで上司と部下がコミュニケーションして、問題解決と育成を行う考え方です。

報告・連絡・相談については、下記投稿もご参考ください。

報連相とは

まとめ

1on1ミーティングは、部下の成長が目的です。上司にとってコーチングや傾聴のスキルが大事であり、部下も自らの内面の気づきから、自発的に業務に取り組む心がまえを学びます。

通常半年に一回行う評価面談とは、切り分けが必要です。ただ最終的に、部下がよい評価を得られるように、上司や部下が1on1ミーティングで双方協力し合うことは大事です。

部下の育成のため、アジェンダで1on1ミーティングを効率的に行いましょう。そして最も重要なのは、上司と部下が共通の価値観をもって、相互に高めあう姿勢です。

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