お客様の懐に入る 優れた営業の手法 アプローチと信頼関係

営業 事業企画

お客様の懐に入る優れた営業は、商材が違えども販売力を持っています。顧客への対処法には、普遍的に通用するスキルや姿勢が存在します。

特殊な知識や技術が必要な商材については、一人で完結する場合と違い、コーディネート力が要求されます。知識や技能を持っている人材を、商談のポイントで同行させることで販売することができます。

扱う商材によって営業の手法は様々ですが、どの商材でも販売できるお客様の懐に入るスキルについて、本記事では記載します。

お客様の懐に入るスキル(心理学と話法)

お客様の懐に入る営業心理学

お客様の懐に入るための営業心理学の応用が有効です。

好意の返報性(営業心理学)

好意の返報性とは、人から何かされたとき、「自分も何か返さなくては」と感じる心理のことです。恋愛、友人関係においては「自分が相手に好意を表すことで、相手からも好意が返ってくる」という法則があります。営業に限らずすべての対人関係で適用できます。

ミラーリング(営業心理学)

ミラーリングとは、相手の言動やしぐさをミラー(鏡)のようにまね、相手に親近感や好感を抱かせる心理学のテクニックです。自分と似た人、ものに対して好感をいだきやすい心理を応用しています。

オープンクエスチョン、バックトラッキング(営業心理学)

「はい、いいえ」もしくは限られた選択肢でこたえられる質問をクローズドクエスチョンといい、自由に回答できるのはオープンクエスチョンです。お客様のニーズを聞き出すのは、オープンクエスチョンです。なぜなにと聞いていくことによって、お客様の価値観と真意をはかります。

お客様の懐に入る営業心理学について詳しくは、下記投稿もご参考ください。

お客様の懐に入る話法

共通点を探す

お客様との共通点を見出すことができれば、スムーズに話が展開します。

誰にとっても身近な話題を提供します。出身地域や、年代の話題、趣味、休日の過ごし方、天候などの話題は共通点を見出すうえで有効です。

学歴や、政治、宗教、国籍などコンプレックスを持っていたり、デリケートになる話題は避けるようにします。

話題を増やす

お客様との共通接点になるような話題を増やします。お客様層によって話題が異なるのが注意点です。一般顧客・消費者であれば、ニュース、流行、芸術、文学、趣味などにアンテナを張ります。法人営業であれば、業界のトレンドや技術動向などです。

異業種であっても様々な人と交流して、自分の枠を広げていくことも有効でしょう。

5W1Hを質問する

共通点や話題のテーマが決まれば、5W1Hを切り口に、質問をすると会話が深堀できます。

「ビジネス交流会にいった」という話題で考えてみましょう。

When(いつ):いつビジネス交流会に行かれたのですか?

Where(どこで):どちらでビジネス交流会がおこなわれたのですか?

Who(誰が):誰がビジネス交流会に出席されたのですか?

What(何を):ビジネス交流会では何が行われたのですか?

Why(なぜ):なぜビジネス交流会に行こうとされたのですか?

How(どのように):どのようにして、ビジネス交流会に行かれたのですか?

共感力

共感は、お客様の懐に入るために重要な要素です。共感するためには、お客様の話を引き出し、深い感情への理解が必要になります。

お客様の話を引き出すのは、否定から入るのではなく、肯定から入ることです。

「おっしゃる通りです」

「確かにその通りですね」

「もう少し詳しくお聞かせいただけませんか?」

「それからどうなったのですか?」

大げさではなく、自然のジェスチャーで肯定します。そして質問の技法で、お客様の話を展開していきます。

質問の技法については、下記投稿もご参照ください。

顧客が購買するときの心理

顧客が商品を購入するシーンを想像してみましょう。自分に置き換えて考えてみるとわかりやすいです。

一つ目は必要に迫られたときで、購入の経済性(価格比較)と利便性が重視されます。

二つ目は、お金を払ってそれ以上の価値を得られると期待したときです。

以上のことから、営業の役割とは、お客様の購入経済性、利便性もしくは、購入価値の期待値をもたらすことにあるといえます。

必要な購入

購入が必要な商品は経済性(価格比較)と利便性が購入決定要素です。経済性については、扱う商材のコスト競争力です。利便性は営業の力によるところが大きいです。経済性に差がない場合だけでなく、差があっても利便性を重視するお客様もあります。

例を出すと建設資材です。ネットで検索購入する方が安い場合があります。しかし図面を読み取り、工事の工程にあわせて、タイムリーに商品を提供してくれる営業からの購入を選ぶお客様が多いです。

買いたいときに近くにいたり、気軽に連絡が取れる営業から買います。優れた営業は心においても、物理的な距離においても、お客様の近くにいることが重要であるといえます。なんでも相談ができて、すぐに来てくれることがお客様にとって購入選択の理由になります。

ここで営業に求められているのは、まず、お客様にとっての、親しみやすさです。親近感は、訪問回数が重要業績指標ですが、うるさがられると逆効果です。お客様にもよりますが、セールストークよりも雑談力やお客様の関心事の話題で、訪問するのがよいでしょう。お客様の関心事の聞き取りを心掛けるべきです。

また、近しい存在でいるために清潔感は大事です。身だしなみや服装には気をつけます。服にお金をかけるよりは、お客様の服装にあわせる感覚が大事です。

購入利便性はリピートオーダーが基本です。一回一回の注文に誠実に対応することはもちろんのことクレームは速やかに処理します。購入後、商品の取り扱い方法やメンテナンスについても親身になることが大事です。

購入価値の期待値

購入価値の期待値はどうでしょうか。必要に迫られているわけではないので、比較的高額な商品であったり、お客様によってカスタマイズされた商品が多いです。

下記AIDMAは消費活動のモデルです。購入価値の期待値を高めて購入に至る、営業プロセスに適用してみてみましょう。

注意・認知度向上

営業が何を扱っているのか知ってもらう認知度向上です。単純に顔が広かったり、顧客が多ければ販売機会は増えます。優れた営業は、単純に活動量が多いです。訪問件数だけでなく、メールや手紙、DM件数も確保しています。

メールを駆使する方法もあります。優れた営業は、必ず一日3訪問を心掛けています。難しいように見えても、知恵を絞り習慣化しています。無理なく自然に一日3訪問するためには、訪問者のお役に立つ情報を常に用意するようにするとよいでしょう。

興味・理解促進

営業の活動としては、興味のないお客様を関心を持ってもらうのは、実はたやすいことではありません。興味のないお客様に時間を割くよりは、興味のあるお客様を探す方が、合理的です。アンテナの張り方は様々です。自分と面会している人だけでなく、自分の知り合いの先にいる人を意識しましょう。自社の製品に興味のありそうな人を紹介してもらうことが大事です。

欲求・ニーズ喚起

ニーズ喚起には2方向あります。

一つ目は持っている商材のメリットを伝える方向です。営業の話を聞いてもらう場を設ける必要があります。扱っている商材につながるメリットがありますが、その商材に関心がある顧客を探す必要があります。

二つ目は、そもそもお客様が潜在的に持っているニーズや課題を引き出す方向です。実は、こちらの方が顧客満足度や信頼性が高くなる傾向にあります。

潜在ニーズを聞き出すSPIN話法が有力です。 状況質問(Situation)、問題質問(Problem)、示唆質問(Implication) 、解決質問(Need-payoff)の 順に展開していきます。SPIN話法について詳しくは下記投稿もご参照ください。

ただし、自分の持っている商材がお客様に適合しない場合があります。その時は無理にせず、きっぱり他社を紹介しましょう。もちろん信頼できる他社の営業を紹介するのです。そのことによって、より顧客の信頼を勝ち得ることができます。信頼できる他社の営業からも、もし、自社よりあなたが持っている商品の方が顧客課題によいと考えれば、あなたを紹介してくれるでしょう。

実は、営業同士の質の良い相互ネットワークは、顧客信頼性向上につながります。紹介も出やすいので優れた営業は、独自の相互ネットワークを持っています。お客の信頼や期待値を超える他社の営業を知っていることは財産になります。

記憶・動機

お客様は、商品について関心があり、購入を検討する段階です。営業が心がけなければならないのは2つあります。一つ目は購入に至らない理由の特定です。時期や機能、価格、代替品や他社を検討しているなど様々な理由があります。理由が特定できれば、それに対する対処策を提示します。

二つ目は、購入後の未来像の共有化です。買ったことにより得られる提供価値を一緒にイメージしましょう。商品購入の動機付けになるだけでなく、感情を共有化してくれた営業に対して、顧客は親近感をさらに持つようになります。紹介が出るタイミングの一つでもあります。

ここで、商品・サービスによっては提案書という形で文書にまとめます。提案書の機能は、2つあります。一つ目は顧客自身が後で読み返し検討を促進します。二つ目は、特に法人の場合が多いですが購入検討に賛同が必要な関係者が複数いる場合に、内容を提案書を受け取った人以外に伝える機能です。

行動・購入

営業は、タイミングをみはからいしっかりお客様の後押しをしましょう。クロージングです。言葉は様々です。「では、サインをお願いします」「ご判断してはいかがでしょうか」「いつご契約にお伺いしましょうか」契約に至らない場合は、記憶・動機の項目にもどり、買わない理由の特定が必要です。

ここでお願いした場合はどうでしょうか。情に訴えて買ってくださいということで、営業の人間性自体が安く評価されてしまいかねません。多少高度な交渉術になりますが、時には「こちらは購入をお願いするような立場ではありません」といった趣旨のことを伝えて、突き放す方法もあります。あなたが営業として評価され、商品のニーズがあれば、必ず顧客から折れて、前向きなアクションを引きだすことができます。それで、顧客が離れることがあれば、追わずに次の顧客に行きましょう。

お客様の懐に入る優れた営業のまとめ

営業は、自分の商品・サービスが顧客にとって良いものだという思いが強いほど結果を出しやすいです。営業教育において、自社の商品に対する思い入れを持たせるようにするのはこのためです。

お客様の懐に入る優れた営業は、自分の立てた目標は最後まであきらめません。目標が困難に見えても、乗り越えることでより強い営業力を培うものです。

営業に限らずに、すべての職種で言えることですが、課題を乗り越えるプロセスで知恵を絞ることがレベルアップの道なのです。

営業研修については下記投稿もご参考ください。

営業戦略・スキル・マネジメント、あらゆる業種や階層について営業力強化、課題ついての情報や方法論については、下記投稿にまとめています。

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