ビジネスチャンスを自分のものにするためには、キーマンの関心をひかなければなりません。キーマンは、多忙のためさける時間は限られています。今回の投稿では、短時間で相手の関心を引くプレゼンの方法について記載します。
エレベーターピッチ(30秒で伝えるプレゼン)
世界の最先端のビジネスモデルの中心地である、シリコンバレーでは、実力のあるプロの投資家が集結しています。新規事業を立ち上げ、次のGoogleやアップルを目指す多くの起業家が、投資家にビジネスプランを提案します。
シリコンバレーの起業家は、エレベーターの中で投資家に会ったら、一緒にエレベーターを乗っている30秒が勝負です。30秒の間で自分のビジネスプランを的確に伝えられなければ、シリコンバレーでは生き残れないといわれています。
エレベータピッチという言葉は、シリコンバレーから生まれました。エレベーターの中で、30秒で説明(ピッチ)することです。

30秒で伝えるシーン
シリコンバレー以外のビジネスにおいても、30秒で伝えなければならないシーンはたくさんあります。30秒というのは、一方的に話を聞いてもらえる程よい時間なのです。文字数で言えば、内容にもよりますが、およそ180字前後です。
30秒で伝えるシーンの例を挙げてみましょう。
・事業計画を投資家に説明するときの掴み
・営業で初回の訪問時の冒頭、テレアポの説明時間。
・交流会、パーティなどでお目当ての人に覚えてもらうときのアプローチ
・きわめて多忙の実力者をつかまえる時、次のアポイントの申し入れ
30秒で伝えるポイントは、以下の通りです。
・相手が最も興味がもちそうなキーワードを入れる。
・相手が最も知りたいことを端的に伝える(相手にとってのメリットなど)
上記には、双方に共通する点があります。それは、相手の身になって考えるということです。
30秒で伝える事例
Aさんは、AIをつかったシステムの新規事業を企画しています。
このシステムは、インターネットの大量の情報分析に時間がさけない事業主の悩みを解決します。インターネットから商圏や口コミ、競合店の情報を収集して、分析をしたうえで、事業主さんに売上の予測やとるべき施策を提供します。
ポイントとしては、AIの学習機能によって、分析や戦略立案の精度を加速度的にたかめることができることと、多量の定性情報(文字情報)を分析できることです。
このような事業は、現在他にはありません。この新規事業を成功させるためには、B社の出資や販売協力が必要になります。
B社は歴史のあるシステム販売会社であり、全国の事業主に販売網があります。営業力は強いものの、他社との差別化とお客様満足度向上が悩みです。
AさんはB社の社長が出席するパーティに参加しました。主催者に頼んで、名刺交換の機会をいただきました。
主催者「社長、こちらがAさんです」
Aさん「~」

解答例は以下の通りです。
「はじめまして、IT企業を経営しているAです。インターネットからの多量の情報を活用ができない事業主に、AIによって分析結果を提供する、他にはない新規事業に取り組んでます。御社にとって、他社との差別化と顧客満足度向上に役立つ、協業計画のご説明の機会を頂きたいのです。御社にとっての3つの具体的なメリットをお伝えしたいのです。よろしければ、お時間を頂戴したいのですが、明日の午前か、3日の午後でしたらどちらがよろしいでしょうか?」
事例のポイント
「はじめまして、IT企業を経営しているAです。」
→IT企業経営者であることは、関心を得るポイントです。法人化していなく計画段階でも、ITの起業家などの名称で、名刺を準備して名乗ってもよいでしょう。
「インターネットからの多量の情報を活用できない事業主に、AIによって分析結果を提供する、他にはない新規事業に取り組んでます。」
→事業の特徴を端的に伝えます。詳しい内容は不要です。他にはない事業であることを伝えるのは重要です。B社の社長は、Aさんからしか聞けない話であると認識します。
「御社にとって、他社との差別化と顧客満足度向上に役立つ事業計画のご説明の機会を頂きたいのです。御社にとっての3つの具体的なメリットをお伝えしたいのです。」
相手にとっての利点、関心のあるポイントをもりこみます。
「お時間を頂戴したいのでが、明日の午後か、3日の午後でしたらどちらがよろしいでしょうか」で次のステップを提示しています。パーティー会場であるということを勘案すると、B社の社長の時間を独占することは難しいし、TPOにも反します。
この場では、アポイントを取れるようにすれば十分でしょう。アポイントの取り方のコツですが、選択肢を提示すると、相手が迷うことなくスムーズに決まりやすいです。

ジョブズの事例
スマートフォンの生みの親、スティーブ・ジョブズ 著「驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」によると、1.何をするのか? 2.どの問題を解決しようとしているのか? 3.ほかとはどう違うのか? 4.なぜ気にかける必要があるのか? というのが大事なポイントです。
先ほどの事例でも「インターネットから~」でポイント1と2を、「御社にとって~」でポイント3と4を満たしていることがわかるでしょう。
「驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則」の事例を紹介します。
1.L社とは、英語が話せない顧客と接点を持ちたいと望む企業のために電話通訳サービスを提供する世界最大のプロバイダーです。2.米国には、平均して23秒にひとり、英語を話せない人が入国します。3.その人が病院や銀行、保険会社、救急などに電話をしたとき、L社の通訳が対応するわけです。4.当社を使っていただければ、150ヵ国で顧客や患者、見込み客と話をすることができます』引用:『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン―人々を惹きつける18の法則』より。
1.何をするのか? 2.どの問題を解決しようとしているのか? 3.ほかとはどう違うのか? 4.なぜ気にかける必要があるのか? を説明していることがわかります。
また、150か国と具体的に数字も入れているのがもポイントです。数字は説得力を増す効果があります。
まとめ
人生は、出会いと別れの連続です。一期一会という言葉があるように、出会いは貴重です。誰にでもチャンスは巡ってきます。チャンスを生かせるかどうかは、日ごろの準備と、一方的に聞いていられる時間である30秒のプレゼンのスキルを磨くことが大事です。
自己紹介、会社紹介、自分の企画内容など、日ごろから30秒で伝える練習をしておくとよいでしょう。
本投稿が、皆様のビジネスライフに役に立てれば幸いです。
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