リカレント教育とは(人生100年時代の循環教育、人材と組織の成長)

人事 キャリア

リカレント教育とは、学校教育を終えた後もなお、繰り返しキャリアアップの生涯教育を行うことです。学びの姿勢を持ちづづけることは、組織人材面において極めて高い価値をもたらします。本投稿では、組織人材が未来に向かって成長し続けるためのリカレント教育の目的、事例や仕組みについて考案します。

リカレント教育の目的

学生時代の学びは貴重です。人生の選択肢の多くは、学生時代の学びや過ごし方によって方向性が定まります。可能性というキャンバスに、思うように絵を描けるのは、学生時代です。

一方では、社会人になってからの学びはいかがでしょうか。多数の人にとって、人生の過ごす時間の大半は社会人になってからです。

社会人になってからの学びは、理論だけではありません。実体験を通じてより、実践的となります。経験を通じて、課題を乗り越える道筋を示したり、より合理的、より高い品質で業務を行うための能力を形作ります。

経営の側面から見ると、従業員が自発的に業務を遂行しながら学び成長することが、企業継続の源泉となる強みの磨き上げになることから、リカレント教育の環境整備が重要な経営戦略となります。

社会の側面から見ると、リカレント教育を行うインフラの構築(行政制度面、教育機関の整備、教育コンテンツの充実)は、避けられない高齢化社会において、より付加価値の高い豊かな社会を持続するため、社会の人々が生き生きと学び働くためにも重要な施策です。

リカレント教育の歴史

リカレント教育の歴史は、1965年、フランスの教育思想家であるポールラングランの「生涯学習論」が先駆けになりまた。一生涯にわたって、社会の様々な場面で個人が継続的に学び続けることが重要という思想です。

1969年5月には、スウェーデンの文部大臣パルメがヨーロッパ文部大臣会議において、リカレント教育の言葉を使用し、国際的に有名になりました。

その後1973年には、OECD(経済協力開発機構)が「リカレント教育一生涯学習のための戦略」の報告書をまとめ、世界的な概念として確立しました。リカレント教育は義務教育以降、生涯にわたる包括的な教育戦略として2つポイントを示しています。

ポイントの一つ目は、労働と教育を交互に行うライフスタイルの確立によって、一生涯にわたる学習を実現します。

ポイントの二つ目は、リカレントモデルの生き方を可能にする社会を構築するために社会システムの変革です。

リカレント教育の背景

日本国の平均寿命は、2017年には、男性81.09年、女性87.26年と、前年に比べて男性は0.11年、女性は0.13年上昇しました。今後、男女とも平均寿命は延びて、2065年には、男性84.95年、女性91.35年となり、女性は90年を超えると見込まれています。

内閣府ホームページ
出典:内閣府ホームページ

平均寿命が延び、人生100年時代になっています。職場は高齢者の雇用の場を提供しなければなりません。

ビジネスパーソンの意識としては、学生時代を経て就職し、安定した職が確保される時代ではありません。業務を通じてビジネススキルを伸ばすことはもちろんこと、時代の変革に応じた知識や能力を自主的に身に付けていく姿勢が大切です。

行政としては、高齢者から若者まで、全ての国民に活躍の場があり、全ての人が元気に活躍し続けられる社会、安心して暮らすことのできる社会をつくることが重要な課題です。

リカレント教育のインフラ

社会人対象の大学院や大学

MBA(Master of Business Administration)は、経営学の大学院修士課程を修了すると得られる称号です。

MOT (Management Of Technology)は、経営技術の研究・開発や継続的なイノベーションを中心とした経営管理を対象とする学問分野です。

MBA、MOT取得者は経営管理職の道が開かれ、年収は高い傾向にあります。

その他の分野においても①会計、法律、心理学などの「定番型」、②AI、統計学、ITリテラシーなどの「成長技術型」、③観光や農業などの「地域型」、④介護、福祉といった「時代要請型」など各種専門の大学院が作られています。

仕事をしながらでも通うことが出来るようにと、多くの教育機関が夜間や土日を中心にしたプログラムを提供しています。

リカレント教育のインフラ(各種スクール、オンライン、アプリ)

大学院、大学以外の民間については、以前から各種の資格予備校や語学関係のスクールがありました。近年はデザイン、Webマーケティング、SNS、AI、ITスキルといった領域にも教育サービスの提供が拡大しています。

ITインフラの整備にしたがって、学びの方法も多様化しています。通学形式のスクール以外にも、動画配信、Webでのオンライン受講、スマホなどのアプリによる学習のスタイルが活況を呈しています。

リカレント教育の事例

戦略コンサルティング会社 「留学支援制度」

マッキンゼーアンドカンパニーなどの外資系戦略コンサルティング会社には、若手社員の海外MBA留学を積極的にサポートする留学支援制度があります。

マッキンゼーの場合は「留学が将来のキャリアアップに有用で、本人がそれを希望している」、そして「仕事において高い成果をあげてきた」ことが認められるビジネスアナリスト全員が、支援を受けて留学することが可能です。

参照:マッキンゼーアンドカンパニー ホームページ

サイボウズ株式会社 「育自分休暇制度」

サイボウズ株式会社はグループウェアの開発、販売、運用、チームワーク強化メソッドの開発、販売、提供を行っています。

ワークスタイル変革のきっかけ離職率が28%から3%前後に改善した実績があります。

「育自分休暇制度」はサイボウズを退職する人に「またチームに戻れる」という安心感をもってチャレンジしてもらうことが目的の制度です。利用希望者は、最長6年間はサイボウズへの復帰が可能です。

参照:サイボウズ株式会社ホームページ

厚生労働省「教育訓練給付金」 

働く方の主体的な能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とし、教育訓練受講に支払った費用の一部が支給されるものです。

厚生労働省 ホームページ
教育訓練給付金の概要 引用元 厚生労働省 ホームページ

厚生労働省「人材開発支援助成金」

人材開発支援助成金は、労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を効果的に促進するため、事業主等が雇用する労働者に対して職務に関連した専門的な知識及び技能の習得をさせるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。

厚生労働省 ホームページ

詳しくは以下のサイトをご参考ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000342689.pdf

【まとめ】

時代の要請に応じて、キャリアアップの考え方を柔軟に変更していくことが継続した繁栄への道筋です。人生100年時代においてリカレント教育は、個人にとっても組織にとっても必須です。

個人にとっては、自らの現状を率直に受け止め、適性を見極めて、自分の本来の使命に即した学びの道を見出すことが大切です。どのような環境に置かれても社会から必要とされ続ける人材となる条件です。

組織にとっては、強みを磨き続ける個人に対する環境整備と仕組みづくりが、組織発展のために不可欠です。

中小企業が大きく発展しない理由の多くが、経営者のワンマンプレーに依存しているからです。

組織として発展していくために、一人ひとりの思いや学びの気持ち、向上心を活用するために対話を続け、マネジメントのレベルアップが重要です。

プロフィール
顧客志向研究所
合同会社顧客志向

合同会社顧客志向 代表社員 大草 吾朗 
経営コンサルタントの国家資格である中小企業診断士です。
上場企業経営者から、中小企業、個人事業主に至るまで、数百の経営者の相談業務、ファシリテーション、社員教育の実績があります。
中立的な立場で、課題解決に役に立つ情報提供を行うことを理念としてます。

そのほかの主な経歴
・外資系生命保険株式会社に在籍し、顧客課題のヒアリングから法人契約営業近畿地区2位(キングオブキングス賞)

・MDRT(全世界74か国生命保険営業上位1%の成績基準達成)

・上場直前ベンチャー企業にて採用人事企画の経験

・上場コンサルティング会社での営業経験

・経営改善計画の策定経験(信用保証協会 バンクミーティング)

営業人材育成・人事分野から事業計画策定を得意としています。

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