ハイパーオートメーションとは 事例・市場・技術

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ハイパーオートメーション

ハイパーオートメーションとは、ビジネスの業務プロセスにおけるERPEnterprise Resource Planning:経営資源計画・基幹統合情報システム)などの複数のシステムやツールを、AI(人工知能)やRPA(Robotic Process Automation:ロボットによる業務自動化)の組合せによって自動化して、活用する仕組みです。本投稿では、ハイパーオートメーションの事例や市場、技術について記載します。

ハイパーオートメーションとは

ハイパーオートメーションの市場予測

ハイパーオートメーション・RPA(ロボットによる業務自動化)の世界市場規模は、2022年で92億ドル、2027年に260億ドル、市場の平均年成長率は23.1%で推移する見込みです。(MarketsandMarkets調べ)

主要産業は競争力を維持するために、ビジネスプロセスの自動化需要がたかまっています。AI(Artificial Intelligence:人工知能)とML(Machine Learning:機械学習)に投資し、自動化すべきビジネスプロセスの特定と最適化が課題となっています。

ハイパーオートメーションによって仮想的な業務を自動化し、ビジネスパーソンはより知的な業務へのシフトし、企業は競争力を高めることができます。

あらゆる産業で、進化するテクノロジーに対応したアップデートが行われています。例えば建設業界においては、ハイパーオートメーションが企業の安全配慮のための事故リスクを低減します。現場情報をリアルタイムでデータ化し調整を行うことができます。現場作業員が歩行者用レーン内で歩いているか、安全装置が適切に作動して、常に装着されているかを確認することができます。

ハイパーオートメーションは、RPA(ロボットによる業務自動化)、ML(機械学習)、AI(人工知能)などの高度な技術を駆使した、DX(デジタルトランフォーメーション)の真髄です。

DXについては下記投稿もご参考ください。

ハイパーオートメーションの目的・メリット

生産性の向上

ハイパーオートメーションは、各業務プロセスを横断的にデータを受け渡しして、自動化を図り最適化を行うため、画期的に生産性が向上します。

受注生産製造業の例を見てみます。

受注生産製造業のプロセスとハイパーオートメーション

受注生産の場合、営業情報がスタートです。営業折衝から、受注の見通し及び仕様、希望納期情報が得られます。受注決定後生産計画、生産管理、出荷へとデータが受け渡され、受発注、生産指示、出荷指示が自動的に行われます。3DCADの活用によって、図面作成の件数を減らすことができ納期短縮が行えます。

専門的で高度な業務への適用による属人化の解消

従来は専門性の高かったり、複雑な処理が必要な業務について、自動化が難しかったですが、ML(機械学習)、AI(人工知能)などの最先端の技術を活用することによって、自動化できる業務範囲が広がっています。

専門知識をもった特定の人に頼らなければならなかった業務でも、経験や知識がなくても携われます。特にIT分野において、プログラミングの経験がなくても、企画・設計・導入・運用・データ分析に携われるようになりました。自動化できる業務は自動化して、人はより創造的な業務に集中することができます。

高度なシステム

ハイパーオートメーション導入のポイント

全体最適思考

ハイパーオートメーションは、複数のビジネスプロセスにまたがるために、一部門だけの効率化、導入ではなく、全社的な効率化及び業務付加価値の向上を検討すべきです。導入に際しては、現場からの異論も予想されますが、プロジェクトの目的と目標を定め、経営トップもしくはCIO(最高情報責任者)の完遂意思と関与が重要です。

人員の教育

新しいテクノロジーを使いこなすために、運用する人員の教育の必要となってきます。実践によるトレーニングに加え、事前に説明会の実施やマニュアルなどの説明資料の整備を進めます。DX人材育成のリスキリングについては、下記投稿もご参考ください。

データの一元管理

複数の部門、複数のシステムを横断して連携するハイパーオートメーションは、データの一元管理が自動化のポイントです。企業の情報システムには、ERP(基幹統合情報システム)、CRM(顧客管理システム)、SCM(供給連鎖管理)、SFA(営業支援システム)といった様々な管理システムが存在します。ハイパーオートメーションではこれらのシステムを活用し、連携するためデータの一元管理による高度な自動化を実現させます。

ハイパーオートメーションの事例

住友ゴム工業株式会社(ハイパーオートメーション事例)

住友ゴム工業株式会社では、①デジタル経営で必要なアプローチ②従業員体験の向上のため、RPA(ロボットによる業務自動化)化を推進をしています。

①デジタル経営については、業務基盤(商品企画、製造、メンテナンス、販売)をRPAによって再構築します。定型業務については、自動化及び整流化(標準化・ルール化)を行っています。

②従業員体験の向上については、働き方改革の本丸として、労働時間の削減、労働の質の向上を目指しています。

2018年4月から管理部門5業務についてRPA化をすすめ、効果や価値の検証をスタートさせました。2019年4月よりRPA推進室を設置し、業務整流化やシステム改修等を提案し、実行をサポートしています。業務整理スキルとRPA開発スキルを展開することによって、業務効率化だけでなく、高度な仕事のスキル教育を行っています。

未来のイメージ

アステラス製薬株式会社(ハイパーオートメーション事例)

医薬品候補化合物取得までの期間を最短で約70%短縮

従来、病気の原因となる標的分子に結合しやすい化合物(ヒット化合物)を、医薬品としての適性を高めた化合物(医薬品候補化合物)とするまでには、多大な時間とコストを要していました。アステラスでは、「人×AI×ロボットを統合した“Human-in-the-Loop”型の医薬品創製プラットフォーム」を構築し、ヒット化合物から医薬品候補化合物取得までの期間を、従来に比べて最短で約70%短縮しました。創薬の各工程はAIとロボットを活用して進め、要所で研究者がアイデアや総合的判断などの価値を加える仕組みとすることで、創薬スピードが飛躍的に向上しました。この医薬品創製プラットフォームで、化合物の構造設計(Design)、合成(Make)、その化合物の薬理作用などを評価(Test)、解析し(Analyze)、その結果から次のより良い化合物の構造を設計するというDMTAサイクルを回しています。

引用:アステラス製薬株式会社 ホームページ

iPS細胞培養の限界を突破する

低分子創薬でこのプラットフォームを活用し、創薬スピードが飛躍的に向上したことを受け、細胞や遺伝子などの新しいモダリティにもこのプラットフォームを活用したいと考えました。そこで、iPS細胞を創薬に活用するために既につくば研究センターに導入していたロボット、Maholo(まほろ)を軸に、新たにMahol-A-Ba(まほらば)を開発しました。

開発の背景には、新たな創薬研究手法の必要性の高まりがありました。例えば、アステラスでは希少疾患に対する治療薬の研究開発も行っていますが、希少疾患の場合、患者さんの数が少なく検体の採取が困難であるため、従来の手法での創薬には限界がありました。その状況の中、iPS細胞を活用し、細胞を目的の細胞へ分化させる技術が登場したことにより、この限界を突破する出口が見えました。

研究者が行っていた細胞培養・分化の作業は「匠の腕」を再現できるロボットMaholoが担い、分化した細胞の活性や、薬理作用の評価を「匠の眼」を持つロボットが行います。その膨大なデータをAIが解析し、人が判断し、フィードバックを行うことで学習・向上に繋げます。このプラットフォームにより、希少疾患であっても、そのバイオロジーをin vitro(試験管内)で再現できるようになり、創薬標的の仮説検証、医薬品候補の薬理作用の確認・メカニズム解明が可能になりました。

引用:アステラス製薬株式会社 ホームページ

創薬プロセスのバリューチェーンについては下記投稿もご参考ください。

バリューチェーン分析業種別適用用事例

株式会社JTB(ハイパーオートメーション事例)

JTBグループでは、「デジタルの基盤」の上に「ヒューマンならではの価値」を生かす経営方針を打ち出しています。

国内旅行商品は、目的地の宿泊施設との間でプランや料金交渉を行い、移動手段である飛行機や新幹線の手配や交渉、滞在中の交通機関の交渉や、旅行先でのアクティビティや追加の旅行素材の交渉を行い、価格決定を経て商品化されます。

出発地と目的地の組み合わせは全国にわたり、これまでは全国の組織で、商品企画に必要なすべての機能を備えていたことから、業務フローを標準化し、デジタルツールを使って業務生産性を高めていくことが課題でした。

「生産性向上には、これまで手作業で行っていた業務をRPAによって自動化することが有効だ」と考え、RPAツールの導入を開始しました。

メリット

  • 稼働中のロボット数:約100ロボット
  • 削減時間:約40,000時間
  • 導入済みの部門の割合:3/5部門

今後

稼働時間については、コロナ禍の影響もありバラツキがあったものの、2020年11月以降は一気に増加し、KPIに設定した月間4000時間の目標を突破、6000時間にKPIを上方修正しました。

実行PCのクラウド管理によって、ロボットのさらなる安定稼働をめざしています。オンプレミスで運用してきたサーバーのクラウドへの移行に向けた準備が進んでいます。

以上参照:RPA総研

AI

ハイバーオートメーションに使われるテクノロジー

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

日本RPA協会による定義は、「ロボティックプロセスオートメーション(Robotic Process Automation)、通称RPA(アールピーエー)は、これまで人間のみが対応可能と想定されていた作業、もしくはより高度な作業を、人間に代わって実施できるルールエンジンやAI、機械学習等を含む認知技術を活用して代行・代替する取り組みです。」とされています。

AI(人工知能)

AI(artificial intelligence:人工知能)とは、人間の知能を、コンピューター及びソフトウェアを用いて人工的に再現したもので、「知能」を研究する計算機科学(computer science)の分野を指します。人間のように経験データから自ら学び、新たな入力に順応し、柔軟にタスクを実行します。ディープラーニング(深層学習)と自然言語処理(人間が日常的に用いる言語を機械で分析すること)がよく使われています。

AIについては、下記投稿もご参考ください。

ML(機械学習)

ML(機械学習)とは、人工知能の技術の一つです。大量のデータをコンピューターが学習することによって、法則やパターンを見つけだし、タスクを高い精度でこなせるようになることです。

ディープラーニング(深層学習)

ディープラーニング(深層学習)は、機械学習において必須とされるパラメータ(コンピュータのプログラムに対して、処理の内容を動的に決める目的で外側から与える値)を指定することなく、コンピュータ自身がパラメーターを探して学習を行っていく手法です。

自然言語処理 

自然言語処理は、人間の言語(自然言語)をコンピュータで処理・分析する技術です。NLP (Natural Language Processing)とも呼ばれます。自然言語処理の実用例には、以下があります。

  • 検索エンジン(google、bing)
  • チャットボット(人工会話プログラム)
  • AIスピーカー(Amazon Alexa)
  • AIアシスタント(Siri)

IDP(Intelligent document process:高度な文書処理)

IDP(高度な文書処理)とは、非構造化データと半構造化データを活用可能なデータに変換します。多様な形式のドキュメントからデータをキャプチャ(ファイルに保存)、抽出、処理します。関連性のある情報を分類、カテゴリー分け、抽出し、抽出されたデータを検証します。

OCR(Optical Character Recognition:光学文字認識)

光学文字認識 (OCR) は、テキストの画像を機械で読み取り可能なテキスト形式に変換するプロセスでのことをさします。

人工知能

ローコード・プラット・フォーム(LCPA)

ローコードとは、プログラミング言語でのコーディングを基本とした開発ではなく、主にビジュアルモデリングによってアプリケーション開発を行い、ソースコードの記述量を大幅に削減します。プログラミングスキルを持ってない人でも開発できるようになる必要な環境を、ローコードプラットフォームといいます。

iPaaS (Integration Platform as a Service )

ガートナー(米国調査会社)の定義によると、iPaaS (Integration Platform as a Service ) とは「オンプレミスとクラウドベースのプロセス、サービス、アプリケーション、およびデータの任意の組み合わせを、個別または複数の組織に接続する統合フローの開発、実行、およびガバナンスを可能にするクラウドサービスのスイート」としています。つまりiPaaSとは、クラウド環境にある複数の業務システムを統合するクラウドサービスのことです。

タスクマイニング

タスクマイニングとは、業務におけるパソコン操作(アプリ起動、画面立ち上げ、ファイルオープン、コピー&ペーストなど)ログデータを分析することにより、タスクレベルでの課題・問題点(非効率な業務や、ボトルネック、繰り返し業務等)を発見する分析手法のことです。

まとめ

パイパーオートメーションは、業務プロセスを効率化、行動化するための最新技術の適用と解釈できます。これまでのIT導入と同様、組織の全体最適志向と導入の目的の明確化と完遂が重要です。また人材の育成もハイパーオートメーションの企画、導入、運用のためには不可欠といえます。

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