新規開拓は、事業が拡大するために重要な活動です。既存顧客からの売上は生産性が高いですが、成長には限度があります。新規顧客には労力がかかりますが、事業にとっては可能性の広がる純増の売上・利益獲得なります。営業職にとっては、自らの力量を証明する機会となります。この投稿では、新規顧客開拓の方法論について述べていきます。
新規開拓のターゲットを定める
最初に行うのは、新規開拓のターゲット選定です。自社の製品を買ってもらいたい対象を決めます。切り口としては、対象が法人であれば以下のようになります。どの業界か、会社の規模はどのくらいか、どの地域に営業所や本社があるのかどの部署・職位か、となります。
対象が個人であれば、どのくらいの年齢層か、性別は?、どのくらいの所得層か、どの地域に住んでいるのか、持ち家か、賃貸か、どのような趣味を持っているかとなります。
ターゲットは、既存の顧客層から導き出すケースと、新たに攻略したい対象決めていく方法があります。
新規開拓のリストを作成する
ターゲットを決めたら、対象リストを作成します。対象リストは、アプローチルートがあるなし関係なく作成します。今現在、アプローチルートがなければ、どのようにアプローチするのかを知恵を絞る過程が大事です。
リストを作成したら、担当を割り振ります。担当の分け方は、エリアで分ける方法、重要度で分ける方法、得意とする層で分ける方法と様々な切り口があります。
担当が責任をもって、リストを攻略することと、不公平感がないように、意見を聞きながら担当分けを行うことが大事です。
新規開拓のアプローチ方法を考える
紹介(既存顧客)
人脈をたどり、新規開拓ターゲット顧客の紹介を得ます。紹介ルートは様々です。
一番理想的なのは、既存顧客が提供サービスに満足をして、知り合いを紹介していただくことです。
自分の体験で満足したことを、自分の知り合いに共有して喜んでもらいたいという動機は、純粋なものです。紹介した人に満足いただくことができれば、紹介者の顔もたちますので熱も入ります。
知り合いに同じ満足を味わってほしいという思いは、紹介された新規ターゲット顧客にも伝わります。成約する可能性は高いうえに、さらなる紹介の連鎖が期待できます。
顧客満足が、事業継続の上で最も大事な要素である理由です。
紹介による新規開拓(取引先銀行)
そのほかの紹介ルートとしては、取引先銀行の紹介があります。銀行にとっては、取引先の経営の安定に寄与することになります。
銀行の担当者の熱意にもよりますが、銀行のビジネスマッチングは、今後の銀行の重要な機能として、行政や取引先などの社会的な銀行に対する要請となっています。
銀行紹介ルートを活用するために、日ごろの銀行との付き合いを深めたり、自社サービスのPRを行っていくべきです。
紹介による新規開拓(他部署)
既存の取引先の他部署を紹介してもらう方法です。顧客にとっては他部署は、同じ会社の人間なので、紹介のハードルは低いといえます。また取引先口座はすでに開設されていますので、取引先信用調査や契約などの手続きも簡素にすむことができます。
広告による新規開拓
マスメディアなどの媒体の広告を通じて、新規開拓する方法です。対象顧客リストに目に触れやすい媒体を選定する必要があります。広告のコンテンツは、顧客への訴求すべきポイントとしては一番は、商品・サービスの顧客にとってのメリットのです。
広告は新規ターゲット顧客の関心を引く必要があります。いくら広告費をかけて、多くの対象顧客リストに届いても、読んでもらわないと価値はありません。
そのために、わかりやすい顧客へのメリットをまず目にしてもらう必要があります。そのあと、自社の商品の優位性や信頼性を訴求します。
広告は費用が掛かりますので、常に費用対効果を検証すべきです。
セミナー、フェア、展示会による新規開拓
イベント(セミナー、フェア、展示会)で自社の商品をアピールします。自社開催の場合は、商品の発信は十分に行えますが、集客に手間やコストがかかります。
展示会やフェアの場合は、来場者の客層が自社の新規顧客ターゲットにマッチしているかを検討します。
アピールするだけでなくアフターフォローが大事です。来場者・来客・商談リストを整備します。会社名、連絡先、担当者名、部署、役職、興味を持ったポイントと理由を記載します。
リストの中で、商談になりそうな場合は訪問します。すべての来場者リストの方に、最低限、お礼のメールを発信します。
テレアポによる新規開拓
iタウンページであれば、インターネットで無料で電話番号は検索できます。調査会社(帝国データバンクや東京商工リサーチ)などからテレアポ対象リストを購入する方法もあります。
テレアポの際には、事前にコールスクリプトを作成します。最初の出だしの話し方から、想定のQ&Aを記載します。スクリプトがしっかりしていれば、商品や顧客について熟知していなくても、テレアポを実施することができます。また、アポイントを取れる確率を少しでも上げるために、スクリプトは常時見直して検証するとよいでしょう。
テレアポのアポイントの確率は、商品やリストにもよりますが、よくて数パーセント程度です。テレアポで成果を出すためには、数をこなす必要があります。後述しますがアポイントが取れた先には、しっかりヒアリングとクローズできるように、身だしなみから話法、質問の技法などの技術が必要です。
飛び込み訪問による新規開拓
個人宅であれば、インターホンからアプローチします。法人であれば受付からです。相手の都合の良い時間を無視しているため、多忙そうであれば、その場で次回の訪問日時を決めましょう。
テレアポ訪問以上に相手の警戒があるために、成約の確率は低くなります。成果を上げるためには、やはり数をこなす必要があります。
警戒心を少し解くために、間をおいて繰り返し飛び込みを実施して覚えてもらう手もありますが、しつこくして嫌われないように注意が必要です。
失敗してもダメもととして。新人や若手の営業教育に活用につかわれますが、企業イメージの棄損にならないようにしましょう。
WEBサイト、SNSによる新規開拓
ホームページは、強力な新規開拓のツールです。自社や製品・サービスに関心のあるターゲット層は、自社ホームページにアクセスする可能性があります。他社との差別化につながったり、魅力的なコンテンツを発信することが、新規開拓の有効な方法論となります。
検索エンジンの最適化(SEO)を行い、ターゲットキーワードによる自然流入をはかることも、新規開拓の幅を広げます。検索意図と自社のサービス・製品と親和性が高いキーワードを選定し、ブログやホームページコンテンツで検索上位を目指します。
SNSによる情報発信も、特にエンドユーザー・消費者向けのサービス・製品には効果的です。ターゲット層に向けて、積極的にフォローやリプライをすることによってフォロワーを増やし、露出の母集団をあげていきます。また、各種のイベントと連携したり、ターゲットを絞ったSNS広告も業種によっては強力な新規開拓の方法論となっています。
DM、手紙、メール
有効な顧客リストが整備されているときに、威力を発揮するのがDM、手紙、メールによる新規開拓です。過去の履歴から、優先順位をつけ、効果的に行います。ターゲットの関心のありそうなコンテンツと、自社のサービス・商品に結びつけるシナリオが重要です。
新規開拓におけるアウトバウンド営業とインバウンド営業
新規開拓には、インバウンド営業とアウトバウンド営業組合せが有効です。
インバウンド営業は、顧客からのアクションをきっかけとして営業活動を行う手法です。自社サイト、イベンド、展示会などで、ターゲット層が興味を持ってくれるきっかけをつくり、お問い合わせや資料請求などの見込み客からのアクションを誘導します。プル型営業とも言います。
アウトバウンド営業は企業側から見込み顧客にアプローチを行い、販路開拓、新規顧客獲得を行う営業の方法です。テレアポや、飛び込み方法はアウトバウンド営業でプッシュ型営業とも言います。
インバウンド営業で得た引合いをアウトバウンド営業でクローズする組合せが、新規開拓における効率的なプロセスです。
プル型営業とプッシュ型営業については下記投稿もご参考ください。
まとめ~新規開拓訪問時の心構え~
新規開拓の最初の訪問は、次につながるかどうかの分水嶺になります。テレアポや飛び込み訪問では、なかなかアポイントをとるが難しいので、アポイントのとれた初回の訪問は貴重です。
心構えとしては、しっかり顧客のニーズをつかむことと、次回訪問につなげるように宿題を持って帰ることです。初回訪問から、契約や紹介を得るためのシナリオを描くことが大事です。
営業研修については下記投稿もご参考ください。
営業戦略・スキル・マネジメント、あらゆる業種や階層について営業力強化、課題ついての情報や方法論については、下記投稿にまとめています。
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