顧客提供価値と販売力強化について(事例・ビジネスモデル)

営業 事業企画

顧客提供価値はビジネスモデルのキーコンテンツです。

顧客にとって価値があると判断されたから購買に至ります。顧客の購買行動によって、事業に絶対必要な売上が生み出されます。

顧客の提供価値は顧客の購買行動と密接に関りがありますが、イコールではありません。

顧客への提供価値の期待値を伝え、顧客の購買行動に結びつけることこそが、販売力強化のメインテーマといえます。

顧客への提供価値への期待値の伝え方についてみてみましょう

顧客提供価値とは

商品、サービスそのものが競争優位性があり、顧客提供価値の期待値を広める。これが理想です。

営業を採用したり広告宣伝にお金をかける必要はありません。購買した顧客が満足して、口コミで広がるなど、商品サービスの優位性が独り歩きして売上が拡大します。

顧客提供価値の優位性

成立する条件は、顧客提供価値の絶対優位性です。確立するのは困難ですが、自社の製品や強みを磨き上げることが道筋となります。

たとえるならば名匠の工芸品です。名声が確立すると、販売する努力はいりません。大量生産の汎用品であれば、他社を寄せ付けないコスト、納期、品質などです。

ブランド価値を高める

顧客提供価値に差別化があるのが理想です。しかし、現実はそればかりではありません。成功体験のモデルがあると、すぐに競合他社が追随してきます。

ブランド価値が高いと、同様の製品、サービスの中から選ばれる理由になります。これは、一般向けのB to Cの商品、サービスに限った話ではありません。産業材や法人向けの商品・サービスにも同様のことが言えます。

ブランド価値は様々な要素から構成されます。まず、信頼と実績です。過去のお客様満足度の積み重ねが、ブランド価値を高めることとなります。

逆も同様で、製品の不具合、低品質はブランド価値を低めます。低品質などのトラブルは、将来の販売機会ロスにつながります。またブランド力の低下は、販売価格の低下を招き、直接利益を減らすことになり、悪影響は多大なものとなります。

コマーシャルなどの販売促進はブランド価値形成の一部であるということを認識しましょう。いかに広告宣伝にお金をかけても、製品の満足度が悪ければむしろ悪いイメージが広まるだけとなります。

顧客満足度は、製品・サービスの値段と提供価値のバランスが大事です。顧客が求めている機能や仕様を、顧客が買ってもよいと思う価格内で抑えるビジネスプロセスの構築が、顧客満足度向上につながります。

製品価格と提供価値
顧客提供価値と価格(筆者作成)

カスタマーエクスペリエンス(CX 顧客体験)

顧客提供価値を形成する要素に、カスタマーエクスペリエンス(CX 顧客体験)があります。顧客が商品・サービスの提供を受けてから、終了するまでの期間(顧客ライフサイクル)における、顧客体験、価値、メリットです。カスタマーエクスペリエンスについては、下記投稿もご参考ください。

カスタマーエクスペリエンスとは

顧客体験(CX)による顧客提供価値の事例(スターバックス)

スターバックスは「コーヒーを買う」という体験そのものに価値を生み出しています。お店のオシャレなインテリア、照明、音楽、フレンドリーなスタッフなどにこだわりました。

スターバックスは店をサードプレイス(3番目の場所)としています。家がファーストプレイス(1番)、職場がセカンドプレイス(2番)とすれば、スターバックスはサードプレイスです。

スターバックスは、2020年オリコン顧客満足度調査で、満足度総合1位に選ばれました。

参照:「スターバックスマニアックス」小学館文庫  オリコン総合満足度ホームページ

顧客提供価値とバリュープロポジションキャンバス

顧客提供価値を高める手法に、バリュープロポジションキャンバスがあります。

バリュープロポジションキャンバス(Value Proposition Canvas)は、製品やサービスと顧客のニーズとのずれを解消するフレームワークです。

バリュープロポジションキャンバスは、ビジネスモデルキャンバスの生みの親、アレックス・オスターワルダーの2015年の著作「バリュー・プロポジション・デザイン」で紹介されました。

バリュープロポジションキャンパスの作成方法

誰に何を提供するかを簡潔に書く

バリュープロポジションキャンバスは、「顧客への提供価値」と「顧客セグメント」の2つのゾーンに分かれています。
まず「顧客セグメント」に、「自社の商品やサービスの提供先である顧客像(ターゲット)」の設定をおこないます。「東京大手町のオフィス街の通勤圏内にいる、20~30代の一人暮らし女性」といったように、ターゲットはできるだけ具体化します。

顧客のニーズを書く

顧客のニーズに、できるだけ主観を取り払い、客観的に考えます。
たとえば「日ごろの仕事におけるストレスを、好きなスイーツで解消したい。」などです。

顧客の課題やニーズを聞き出す話法については、SPIN話法が適しています。

SPIN話法については、下記投稿もご参考ください。

顧客に対して提供できる価値を書く。

最後に、顧客に提供できる価値を書きます。自社の製品やサービスによって、得られる顧客の利得、悩みや課題を解決することを書きます。

例えば「材料にこだわったプレミアム感のある上質のスイーツによって、ストレス解消感を提供する」などです。

バリュープロポジションキャンパス

販売力強化

製品の提供価値が一番の販売促進ですが、顧客に提供価値の期待を周知しなければなりません。そのために販売力強化があります。

販売力強化には、コマーシャルなどの広告宣伝と人的資源の投入すなわち営業活動があります。

営業の育成

営業活動の最大の特徴は顧客との対話にあります。商品の特徴を顧客に伝えることができることも大事ですが、顧客の望みや課題を直接聞きだすことができることも極めて大事です。

顧客の望みや課題に合わせて、解決策としてのカスタマイズされた商品を提供することによって、顧客提供価値が増すことになり、事業にとって最も大事な指標の一つである、顧客満足度の向上につながります。

営業活動の目的は商品やサービスの販売にありますが、営業活動そのものが商品やサービスの提供価値の一部になるということを認識すべきでしょう。

顧客の課題を解決する優秀な営業パーソンの存在が、商品・サービスの差別化となり、販売価格の上昇や利益額の確保にもつながるのです。

わたし自身、保険会社でMDRT(全世界74か国上位1%)の成績基準達成の経験があり、全国NO1の保険営業のマネージャーが直属の上司でした。(年収は2億)超人レベルの営業パーソンを数多く交流があった経験からの見解です。

営業力強化については以下の投稿をご参考ください。

営業品質の向上(紹介営業)

 営業活動の継続性における、最も重要な要素は紹介です。

 まず、飛び込みとテレアポは効率が悪いです。アポイントは100件中1件取れればよい方でしょう。迷惑がられながら続ける根気と精神力が必要です。また、取れたアポイントも情報収集目的であったり冷やかしの場合も多いです。

 紹介の場合は、紹介者の顔を立てる必要がありますので、アポイントは容易に取れるはずです。紹介者との関係性にもよりますが、同じ条件ならば購買は、紹介者がある方が選択されます。紹介からの訪問を継続させることが、営業活動の鉄則なのです。

 紹介を得るためにはどうすればよいのでしょうか。それは、あなたが逆の立場で、あなたの営業担当を他のあなたの知り合いに紹介したいと考えるときは、どのようなときか考えてみればよいでしょう。

紹介しても恥ずかしくない

営業を紹介して、紹介者に迷惑をかけたら、紹介者との人間関係にひびが入ります。

紹介しても安心な人であると信頼できることが条件となってきます。

清潔感があり、誠実な営業活動が信頼を生みます。

紹介することによって喜ばれる

紹介して喜ばれれば、紹介者との人間関係もさらに良くなるし、顔もたちます。

喜ばれる提案やサービスを提供することです。

顧客のことをよく知り、ニーズを満たした提案と、アフターフォローが大事です。

顔の広い人だと尊敬される

紹介することによって、幅広い人脈がある人だと尊敬されます。

紹介者を顔を広い人だと、持ち上げてみましょう。

人脈の輪を形成するために、こちらからも可能であればお役に立つ人脈を紹介しましょう。

まとめ

顧客提供価値の向上はビジネスモデルの優位性と言い換えることができます。

販売力強化は、顧客満足度向上によるブランド価値と、営業力の強化の双方の側面からの検討が必要になります。

営業力強化のキーとなるのは紹介営業です。営業を育成するうえで、紹介営業ができるようになることを優先するとよいでしょう。

営業研修については、下記投稿もご参考ください。

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