PDCAサイクル 改善と営業マネジメント OODA事例

PDCAの方法 営業 事業企画
PDCAの方法

PDCAサイクルは、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)のサイクルの繰り返しによって、業務の改善を継続的に行う方法論です。

本投稿ではPDCAサイクル(以降PDCA)による改善の営業マネジメントと、PDCAの指摘されている問題点と対処法、代わりに使われるOODA、PDCAの事例について記載します。

PDCAとは

PDCAは、Plan(計画)Do(実行)Check(評価)Action(改善)の頭文字をとっています。

PDCAサイクルとは、Action(改善)の後に、再びPlan(計画)に戻り、継続して改善活動につとめることであり、PDCAと同義語として使われています。

アメリカの統計学者のウォルター・シューハート博士(1891~1967)の統計的品質管理を参考に、同じくアメリカの統計学者ウィリアム・エドワーズ・デミング博士(1990~1993)によって、PDCAは提唱されました。

またウィリアム・エドワーズ・デミング博士は、日本政府の国勢調査コンサルタントとして、統計的プロセス管理手法を日本の企業経営者に教えました。品質の向上によって支出が減り、生産性と市場シェアが向上するという教えは、日本製品が世界を席捲することの要因の一つと言われています

現在でも、品質マネジメントシステムの国際基準(ISO9001)、環境マネジメントシステムの国際基準(ISO14001)には、PDCAの方法論が取り入れられています。

Plan(計画)

「Plan」は、実行する計画の立案です。目標を設定し、実現するためのアクションプランを作成します。

計画策定においては、5W2H:誰が(who)・何を(what)・なぜ(why)・どこで(where)・どのように(how)・いくらで(How much)の明確化を意識します。

目標は、結果の評価できる数値を取り入れるようにします。計画は時間が経過しても振り返りやすく、周囲のコンセンサスをとる場合も考えて、だれが見てもわかりやすい具体的であるものが望ましいです。

Do (実行)

Doは計画の実行です。全面的な遂行から、試行の場合も含みます。

後の振返りできるように、記録を取っておくようにします。比較や検証のために、できるものは数値化します。

実行状況は進捗管理の上、必要に応じて、見直しを行います。障害や課題が生じた場合は、迅速に対処することが、PDCAのスピード感を保つためのポイントです。

Check(評価)

Checkは、実行した結果を検証します。数値による客観的視ができれば、より有効性の高い評価になります。

数値化しにくい項目も、過去との比較やアンケートなどで定量化します。

数値のみならず定性面も、第三者を活用したり母数を集めることで公平性を高め、評価対象にすると良いでしょう。

Checkの精度は、次のAction(改善)の有効性につながります。

Action(改善)

Actionは、評価の結果を踏まえ、改善を行います。一旦中止の判断をして、計画を練り直すこともあれば、さらなる高い目標や改良を進めることもあります。

やりっぱなしではなく、実行という経験と評価に基づいて、継続して実行の有効性を高め、レベルアップのため次の計画を策定します。

PDCAイメージ

PDCAのメリット

継続改善の仕組みとしての実績

PDCAは日本企業においても、マネジメントにおける有効性を立証してきました。

組織の活動を継続して、レベルアップさせるための仕組みとして、汎用性が高いものです。

業務の優先順位

計画をたてることは、手間がかかるためにスピードの早い時代背景から、軽視されがちですが、7つの習慣(第3の習慣)の教えの通り、計画は優先順位を決め、長い目で見ると、日常の繁忙を低減してくれます。

7つの習慣については下記投稿もご参考ください。

明確な業務基準

PDCAは、特に組織マネジメントにおいて、業務の方向付けに優れています。メンバーがそれぞれ何を目標に取組み改善していくかのプロセスが明確になります。

PDCAが時代遅れという風説もありますが、しっかりPDCAが運用されていないだけのケースも多く存在します。

PDCAの問題点とデメリット

改革への対応

PDCAは改善には有効であるが、改革には向いていないという側面があります。改善は現行の業務のレベルアップであり、改革はゼロベースの目的からのグランドデザインです。

対策としては、計画において、過去の延長ではなく、あるべき姿からの目的ベースのアプローチを試みることです。既存の発想にとらわれない外部の視点も必要かもしれません

改革と改善の違いについては下記投稿もご参考ください。

ビジネススピード

PDCAは、しっかりしたマネジメントサイクルである反面、ITによる時代のスピードの対応に適していないという意見もあります。

経営戦略などの中長期課題には有効ですが、IT関連や現場対応力には、別の仕組みが必要と考えられる向きもあります。

次項のOODA(ウーダ)ループは、スピードに優れています。

OODA

OODA(ウーダ)ループとは

OODA「Observe(観察)」「Orient(状況判断」「Decide(意思決定)」「Act(実行)」の頭文字をとり「ウーダ」と読みます。

「観察」「判断」「決定」「実行」を繰り返すことを「OODAループ」といいます。

1970年代にアメリカ空軍のジョン・ボイド大佐が提唱しました。

戦況における、戦術の素早い意思決定が求められる場面での有用性が認められ、ビジネスやスポーツ分野でも活用されるようになりました。

Observe(観察)

戦況やビジネスの現場では、状況の変化の把握が重要です。

環境の変動や、相手の様子をよく観察し情報を収集します。

保有する情報の質が、戦況やビジネスの成否に大きく影響すると、古来より言われています。

Orient(状況判断)

観察によって収集した情報をもとに、判断をします。基準は、過去の経験や事例を参考にします。

撤退するのか、進むべきか、どの手順、方向に行くのかを判断します。

Decide(意思決定)

データや判断基準をもとに手順を決め、意思決定を行います。

Act(実行)

決定された事項の実行します。実行した影響や、結果については、迅速に観察に入ります。このループのスピード感が、OODAの特徴です。

PDCAサイクルとOODAループの使い分け

PDCAは、中長期的、全体を俯瞰した戦略的な行動計画に適しています。また、業務改善などの積み重ねにも効果的です。業種的に製造業です。

一方OODAループは、環境変動激しい現場志向や、局地的な戦術に適しています。権限を委譲してスピード感を持って対処するシーンに効果的です。業種的にはIT業界です。

権限の委譲、エンパワーメントについては、下記投稿もご参考ください。

PDCA事例 ソフトバンク(高速PDCA)

PDCAは、OODAに比べて、スピード感がないという指摘もありますが、中長期から、短期へPDCAサイクルを高速に行うことによって成功した事例を紹介します。

ソフトバンクグループは、1981年9月設立ながら、売上9兆1,535億円、従業員6万人まで発展しています。

ソフトバンクの急成長を支えた一つに、高速PDCAがあります。

孫社長は「ソフトバンク300年計画」と「人生50年計画」から始まる、10年単位の計画、1年単位の計画を明確に描いています。

大きなゴールから逆算して目標を立て、この高速PDCAによって、段階を踏んで、実現への道のりを描くのです。

高速PDCAは8つのステップがあります。

Plan

大きな目標をたてる(一ヶ月)

小さな目標をたてる(一日)

目標達成に有効な方法をリストアップする

Do

期間を決めて、全ての方法を同時に試していく

Check

毎日、目標と結果の違いを検証する

Action

検証をもとに、毎日改善する

一番優れた方法を明らかにする

一番優れた方法を磨き上げる

参照「孫社長のむちゃぶりをすべて解決してきたすごいPDCA」三木雄信著(ソフトバンク社長室長)

PDCA実行

営業マネジメントへの展開

PDCAサイクル、OODAループともに、営業マネジメントに活用されます。PDCAサイクルは営業話法の活用に適しています。あらかじめ想定した話法に対して効果を検証していくプロセスです。営業話法については、下記投稿もご参考ください。

SPIN話法

一方、OODAループはむしろ営業現場における機動的な対処に優れています。計画通りに商談が進むとは限らず、予測していなかった展開への対処については、Observe(観察) によるOrient(状況判断)と、迅速なDecide(意思決定)によるAct(実行)が効果的です。

営業マネジメント全般については下記投稿もご参考ください。

まとめ

PDCAサイクルは、古いと言われることもありますが、使われるシーンによってOODAループと使い分けたり、高速PDCAのように運用方法次第で今でも効果が検証されています。

マネジメントの仕組みとして、PDCAはこれからも基盤になる考え方であり、運用方法と活用しやりとげる決意こそが大事です。

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