ファシリテーション技術によるビジネス会議の効率化とアイスブレーク

人事 キャリア

ファシリテーション技術は、会議などの人の集まる場で、前向きな発言を促し、参加者の合意や相互理解を形成して、組織を活性化させるリーダーシップのひとつです。先進国の中で、日本は生産性低い理由の一つに非効率な会議があります。会議が有意義に運営されていないために、企業の成長や生産性が阻害されている場面が多くあります。ファシリテーションの技術は、企業の競争力向上のため非常に重要です。この原稿ではビジネス上だけではなく、日常、人が集まって討議する機会にも応用が可能な、ファシリテーションの技術と、人が集まる場で、緊張をときほぐすためのアイスブレークの手法を説明します。

無駄な会議の排除の重要性

無目的な会議には、見えざるコストがとてもあります。ビジネスにおいても時は金なりです。コスト構造上、固定費(売り上げに関係なく発生する費用)における人件費の割合は、どの企業においても相当な割合を占めます。会議における人件費の拘束時間は、単価の高い要職の方もふくめると結構な負担になります。

ファシリテーションの進め方

事前準備

準備はすべてのプロセスにおいて、戦略的、効率的に進めるうえで重要です。仕事の大部分は事前準備で決まるといっても過言ではありません。

ファシリテーションの内容にもよりますが、準備すべきことは以下の通りです。

会議の目的と目指す姿の設定

会議体単体で考えるのだけでなく、プロジェクト期間であったり組織単位で流れを考えていきます。そのうえで今回開催する会議の位置づけから予定議事録(概要ストーリー)を考案します。内容や詳細については、参加者の自由な発言を重視して、結論を事前には用意しません。ただ、導き出したい状態(ゴール)については、ファシリテーターが事前にイメージしておくことが大事です。

開催案内、資料の準備

メンバーに討議すべき項目を事前に知らせます。会議体の状況によっては、事前に告知しない場合もあります。資料については、役割分担の中で十分に余裕をもって依頼します。会議の目的によっては、テーマだけを提供して、資料は参考程度にしておく方が良い場合があります。資料の説明にあまり時間と労力をかけると資料の内容に依存して、参加者の自由で活発な発言が阻害される場合があります。

アイスブレーク

研修や会議などの場は、最初は緊張した空気が流れます。特に初対面同士だと空気が凍りがちなので、氷を壊すという意味合いで、場の空気を和やかにするゲームやネタをアイスブレイクといいます。ファシリテーターは、活発な発言を促す役割がありますので、その場その場に応じたアイスブレイクの方法を覚えておくとよいでしょう。

場面に応じたアイスブレイクの方法

初対面同士の社内研修、選考などの場

自己紹介が王道です。自己紹介もルールを決めて行います。ルールがあると、頭の体操になりまた、連帯意識も形成されます。通常は30秒を目安にと、時間を区切ることが多いです。そのほか以下のようなルールを定めることがあります。

しりとり自己紹介

前の人の末尾のから自己紹介を始めます。例えば「~営業部出身で」「きな趣味は」という風にすすめます。比較的取り組みやすく、また、前の人の自己紹介をしっかり聞こうとする効果が期待できます。

積み木自己紹介

前の人の自己紹介の名前や内容に、自分の自己紹介を追加していくやり方です。「長野出身の前田さんの隣の、東京出身の田中です」といった具合に前の人の情報を追加していきます。しりとり自己紹介以上に、しっかり聞こうとする姿勢が引き出せます。

他己紹介

ペアになって、お互い自己紹介をした後に、みんなの前で、ペアの方の紹介を行う方法です。その後のプログラムでペアとなって作業をすることが多い場合、相互理解に役立ちます。

プログラムの途中で挟むアイスブレイク

自己紹介が終わった後、昼休みの後や2日目などに、場をあっためるときに使うアイスブレークです。

グッドニュースゲーム

時間を決めて、一人ひとり、近頃であった良い出来事を発表していきます。ほかの人の良いことを続けて聞くことになりますので、前向きないい雰囲気が生まれます

NGワードゲーム

発言者の額にNGワードを張ります。発言者以外は、NGワードが見えている状態です。ほかの方は、発言者にNGワードを言わせるように、会話をするというゲームです。全員に額にNGワードを貼り付け、NGワードを言わされたら脱落です。最後までNGワードを言わなかった人が勝利です。

30の人が負けゲーム

ひとり最大3つまで数字(1つ、2つでもいい)を言っていきます。最後に30を言わされた人が負けのゲームです。

ジェスチャーゲーム

お題を引いて引いた人(他の人に見せない)がジェスチャーをして、内容をあてるゲームです。

こうしたアイスブレークは、本論からそれてしまわないように、時間を区切って簡単な準備で行えるものにします。ルールもシンプルでみんなに分かりやすいものが良いです。

このほか、チームビルディング(参加者の組織づくり)を目的に本格的な共同作業を行う場合があります。代表的な方法として「月で遭難?!」というゲームがあります。この方法は事前準備としっかりしたルール説明が必要ですが、場の共同作業意識は高まります。ご関心ある方は下記サイトをご参考ください。

http://www.consortium.or.jp/wp-content/uploads/39633d3db4ed4a5f5da7262fb981ed2e.pdf

ファシリテーションのルール

自由な発言を引き出すためにルール作りが有効です。ファシリテーターが提示するよりは、参加者で決めてもらう方がより、遵守意識が高まります。ファシリテーターは、たたき台レベルは準備おく程度にしておきます。以下のルールが参考例です。

・意見を否定しない

・できない、無理だ、難しいといわない(プラス思考で発言する)

・必ず全員が発言する

・発言をさえぎらない(トーキングオブジェクトを利用して、発言者は一人にする方法があります)

・終了時間を厳守する

これらのルールは、「活発な意見を引き出し、討議を有意義なものにするためにルールを提案してください」とファシリテーターは目的だけ提示して、ルール自体は参加者に発案してもらいます。出席者で決めたルールは、ホワイトボード書き出すなどして、討議の間中、参加者が見えるようにしておきます。自分たちで決めたルールは、自分たちで守ろうとする意識が働くはずです。

ファシリテーターのスキルと注意点

質問力と聞く力

ファシリテーターは、自らの意見よりも参加者の意見を聞くことが重要です。発言が途切れた時に質問や発言を促したり、討議のゴールへのストーリーから外れそうになった時に、注意喚起して討議内容を当初の目的に引き戻す役割があります。参加者自体に考えさせ、自律的な行動を引き出すのがファシリテーションの本質です。

発言が途切れた時の対処法

討議が途切れた時には、個人ワークをはさむのも有効な手段です。討議を中断して、テーマ設定します。5分なり時間を区切って、各個人が考える時間を設けるのです。出た考えは、付箋やワークシートに記載してもらって、それぞれ発表してもらいます。人の意見に左右されずしっかりした個人個人の考えが引き出せる効果があります。それぞれ出た意見は、近いものをグルーピングしたり組み合わせたり、ストーリーにしたりして討議をより深めていきます。

時間管理:タイムキーピング

会議や研修の時間管理を行います。予定議事録にそって、想定時間を決めておきます。オーバーしそうであったり、早すぎる場合には適宜ディスカッションの進捗を調整します。

決められた時間を守ることが会議の規律性をもたらすために重要です。ただ、思いにもよらない重要な論点が出た場合などは、機動的に議事の進行を調整し、予定された内容を柔軟に変化させるのファシリテーターの技量です。

議事を終えるの予定通り終えるだけでなく、会議や研修の効果をより高めることがファシリテーションの目的なのです。

ファシリテーションの終わりに(結論と合意形成)

人件費をかけて招集した会議や研修には、アウトプットが必要です。会議自体が目的ではありません。その後どうするかが重要です。プロジェクト単位のファシリテーションでは、当日論点や決定事項をベースに再確認と論点の発展を行います。ファシリテーターとメンバーそれぞれが課題を持ち帰って、次回議論を深めるようにします。会議であれば議事録は、当日に作成します。新人は、業務を覚えるうえで議事録作成は大変学びになるので担当させるとよいでしょう。

またGoogle ドキュメントをつかえば、音声を文字に変換することができます。リアルタイムでファイルを共有し、複数人で同時に編集できるので議事録作成には便利です。(参考 twitter Kazumiさん)

研修などの場合は、当日作成したホワイトボードや模造紙の記載内容を撮影して、報告書にまとめます。

ファシリテーションの活用シーン、事例

ファシリテーションは、経営改革のプロジェクトに活用されます。コンサルタントやファシリテーターが事前に討議すべきテーマや関連する統計、数値資料を準備します。経営戦略や事業計画を作成する場合にも関係するメンバーを招集して行います。社内だけで行う場合もありますが、外部の客観的な知見を活用した方が良い場合には、外部のコンサルタントがファシリテーターとして参加します。以下の事例もご参考ください。

まとめ

ファシリテーションは、連続性が大事です。会議や研修を行うことが目的ではなく、その後の行動に結びつけることが目的です。したがって、各自が課題や学びを持ち帰り、時期を改めて成果や行動を発表することが必要ではないでしょうか。

ファシリテーション技術を使った成果の出る研修については下記投稿もご参考ください。

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