チームビルディング(Team building)とは、「チームをつくる」と訳されます。共通のビジョン・目標を達成するために、個々のスキルや能力を発揮する組織づくりです。主に、研修のワークやプログラムで採用されます。実際の業務においても、より優れた組織を構築するために、テーマを定めて活用されます。本投稿では、チームビルディングの目的、具体例 研修方法について考察します。
チームビルディングの目的
人材の育成
チームビルディングによって、相互理解を進め、自由な意見交換をできる場を設けます。同じ目標を共有することで自分の期待されていることを理解し、自発的に行動するようになります。横のつながりだけでなく、縦の関係も強めます。
チームビルディングをおこなうことを通じて、社員のリーダシップを強化し、現場を任せる体制をつくります。
人材育成について詳しくは、下記投稿もご参考ください。
組織業績の向上、コミュニケーションの円滑化
チームでビジョンや目標を共有化することによって、協働の意思が生まれます。各自の役割分担の話し合いを通じて、コミュニケーションが円滑化し、メンバー間の関係づくりが進みます。相互理解によって適切な人員配置が可能となり、チームワークによる業績の向上が期待できます。
ビジョンの浸透
チームビルディングを通じてマインドセットを行い、組織の目的やビジョンを浸透させることができます。目標を達成するためにチームメンバーの一体感が生まれます。組織力活性化のためにチームビルディングを活用します。
目標達成への一体感
メンバーの関係性をつくり、チームの一体感の中で目標の共有化と、達成へのマインドを形づくります。
チームビルディングにおけるタックマンモデル
タックマンモデルとは、心理学者のブルース. W. タックマンが「Tuckman’s stages of group development」という論文で、1975年に提唱した、チームビルディングにおける5つの発展段階です。
チームの発展段階ごとの現状を説明しています。チームを機能させるために今後の方向や必要な施策を明らかにしてくれます。
形成期(Forming)
チームが形成されたばかりで、互いのことをよく知らず、チームの目的が不明瞭な状態です。メンバーの役割や責任も明らかではありません。
リーダーがチームの目的や目標(ゴール)を指し示しす必要があります。ゲームや交流会を通じて、メンバー間のコミュニケーションの量を確保する必要があります。
混乱期(Storming)
チームの目的や目標(ゴール)に食い違いがある状況です。役割分担や進め方について、メンバー間に対立が生まれます。
メンバー間の理解をすすめるために、じっくり対話するなどコミュニケーションの深さが必要になります。意見の相違については、表明できるような環境を作り、納得できるまで話し合う必要があります。
統一期(Norming)
チームの目的や目標(ゴール)、メンバーの役割が明確になっています。メンバー間の理解が進み、認め合う関係性が形作られます。
チーム内での役割分担やルールの中で、各自が目標に向かって進む仕組みづくりが大事です。
機能期(Performing)
チームの中で、相互支援や連携が取れ、最もパフォーマンスが良い状況です。メンバーはモチベーション高く自立しており、一致団結して目標に向かっています。
リーダーはメンバーの自立心を尊重しながらも、必要に応じてケアします。
散会期(Adjourning)
時間的制約や目標達成からチームは、解散の時期にきています。異動や別のチームが結成される時期です。
成果の結果、違う目標を持つメンバーが現れます。互いに敬意や賞賛の気持ちが芽生えると、チームビルディングは成功したといえます。
チームビルディングの方法
目的・ビジョンを明確化
チームの結成された目的、チームのあるべき姿・ビジョンを明確にすることで、一体となって進むべき方向性を見出します。目的とビジョンが不明確だと、メンバーがどこを目指していけばいいのか迷いが生じ、チームはまとまることが難しくなります。
チームにおけるビジョン、あるべき姿の描き方について詳しくは、下記投稿もご参考ください。
役割分担と動機付け、スキルの理解
チームのビジョンに向けた目標を達成するために、メンバーの役割分担を行います。マネジメントは、メンバーと面談して目的とビジョンを共有し動機付けを行い、成果が出るように希望や適性を踏まえた役割を明確化します。チームのメンバーは、それぞれのスキルや経験についての相互理解と共有をします。
コミュニケーションの活発化
チームがうまく機能するために、マネジメントやメンバー間のコミュニケーションを活発にするようにします。目標に向けて、情報共有と意識のすり合わせを行います。
組織におけるチームビルディング
新入社員・若手
社会人としての基本姿勢を修得します。主体的に仕事に取組み、周囲と協調します。
お金を払って教育を受けていた学生時代から、お金を受け取って仕事に取り組む責任感への意識改革を行います。
中堅社員
組織の意向を踏まえながら現場を導く指導力をつちかいます。
組織の中核として、実務を遂行する上での最適化な機能を追求します。
上下の風通しを良くする役割を担います。
経営陣
部門や部署に組織のビジョンを浸透させます。
メンバーの能力を最大限に引き出すように心がけ、育成を行います。
組織の目的と目標を設定し、実現するための体制を構築します。
チームビルディングの具体的事例
株式会社メルカリのチームビルディングの具体的事例
株式会社メルカリ
設立:2013年2月1日
OUR BRAND「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」
Intercultural Team Building (ITB)
Intercultural Team Buildingとは多文化・多国籍のメンバーが集まるチーム内のコミュニケーションを円滑にするためのワークショップです。異文化コミュニケーション研修とチームビルディングアクティビティを掛け合わた独自のプログラムを実施しています。
引用 株式会社メルカリ ホームページ
そのほか、お客さまからのお問い合わせなどを通した顧客体験を改善するメルカリCRE Mobileチームがオンラインでのチームビルディングを行っています。
チームビルディングで活用されたのは「Gartic.io」という、「何を描いたのか?」を当てっこするチャット形式のゲームです。
粛々とゲームを楽しんでいく感じで、メンバーなりに楽しみました。リモート勤務によって一人で仕事をしているメンバーに「人と話す機会」を提供しました。
引用編集 株式会社メルカリ ホームページ
未来工業株式会社(チームビルディングの具体的事例)
設立:1965年8月
企業理念:常に考える
業種:電気設備資材、給排水設備資材及びガス設備資材の製造並びに販売
「残業が少なくて休みが多い」「売上目標や販売ノルマがない」など社員が幸せな会社といわれています。
チームビルディングのために、豪華な5年に一度社員旅行を行っています。5年に1度、費用はすべて会社負担です。創業50周年にあたる年には、2億円もの会社経費をかけて、イタリアの世界遺産52か所を巡る豪華ツアーでした。
社員が現地で撮影した写真を応募し、帰国後に社内で行われる審査会で選ばれる「社内写真コンテスト」が行われました。コンテストの商品は以下の通りです。
第1位 新会社を設立し、社長に就任できる権利
第2位 有給休暇を実質1年間取得できる権利
第3位 有給休暇を50日取得できる権利
これほど豪華なツアーだと旅行を終えた後も、自然に思い出話で行われます。社内でのコミュニケーションを深めるきっかけになりました。
チームビルディングの研修方法
ゲーム
日常から離れて、一定のルールの下でゲームを行います。メンバー同士の相互理解とチームの一体感を促します。ここでは、すぐに取り組める代表的なゲームの方法を紹介します。
条件プレゼン
チームでキーワードを盛り込んだプレゼンを作るゲームです。
参加者が多数の時は、同じ条件(キーワイドの内容と数)にして、審査して順位を決めます。
キーワードがうまく組み込まれているか、プレゼンでの表現力、チームワークとコミュニケーションを審査します。
伝言ゲーム
チームで一列になり、元となる一定の言葉(メッセージ)を伝えていきます。耳打ちで、一人一人に他の人に聞こえないように伝えます。最後の人に伝わった言葉と、最初の人の言葉が一致するか、どの程度違ったかをチームで共有して楽しむゲームです。
お題には例として以下のものがあります。
「ナポリでタモリがヤモリの重りを持っていた」
「電車乗って大阪駅で乗り換えたらバスに乗らずに人力車に乗った」
「○○課長の奥さんは元ミスで恋敵がたくさんいたようだ」
「暑中に焼酎、しょっちゅう飲みます」
「花坂爺さん、庭に桜を咲かせました」
シンプルですが混同しやすく、いかに正確に伝えるのが難しいのかが実感出ます。
ファシリテーションとアイスブレーク
ファシリテーションとは、ミーティングを円滑に進める技法です。アイスブレークは、ミーティングの前に軽いゲームやクイズ、運動おこなって雰囲気をほぐし、自由活発な意見を誘発することができます。
ファシリテーションとアイスブレークについて詳しくは下記投稿をご参考ください。
チームビルディング研修の具体例(日清食品)
合宿形式で行います。衣食住をともにすることで、相互理解、一体感が深まります。
日清食品ホールディングス株式会社 (社長・CEO:安藤 宏基) は、2017年9月28日(木)~30日(土)に、瀬戸内海に浮かぶ “無人島” で2泊3日の新任管理職研修を実施します。当社では2003年より、無人島研修、山修行、被災地ボランティアなど、さまざまな新任管理職研修を行ってきました。今回の「無人島研修」に参加するのは、日清食品グループ新任管理職の約30名で、このうち、中国・香港の当社グループ会社で働く外国籍管理職10名が無人島研修に “初参戦” します。また参加者には、女性新任管理職も6名含まれています。
この無人島研修では、携帯電話や腕時計、財布などの私物はすべて没収され、3日間の完全なる無人島生活を行います。支給される食糧は一人あたり1日1食の「チキンラーメン」などわずかで、それ以外は島内で自力で調達しなくてはなりません。
本研修では、「食は人間の命を支える一番大切なもの」であることを再認識し、文明社会から離れた自然の中で生活することで、現代の厳しい競争社会を生き抜くための自活力を磨き、精神的にも肉体的にも「骨太の管理職」の育成を目指します。また、チームでの課題解決を通じて参加者の創造力や判断力、リーダーシップを高めるとともに、参加者同士の結束力を強固なものにします。
引用:日清食品ホールディングス ホームページ
まとめとチームビルディング研修
日清食品ホールディングスのケースでは、食に対する会社の姿勢と、管理職としての心がまえ、チームワークを研修しました。
このように、チームビルディングでは、参加者を集め、ゲームをおこなうだけだと効果は不明瞭です。実務に即した形で、目的を明確にするべきです。
チームビルディングで効果の高い研修方法の一つに、次世代経営幹部による経営計画策定研修があります。
大自然の前で合宿やサバイバルキャンプ形式にします。理由としては、困難に面した方が創意工夫が生まれ、チームの結束力が高まるからです。
実際のビジネス現場情報や、社会情勢をチームで分析します。次世代経営幹部の手で作成された事業計画を、最終的には現経営陣の前でプレゼンを行い、承認を得て実行に移します。
チームビルディングは、実務に離れたの形で紹介されることが多いですが、経営理念の浸透や、通常業務では行いにくい課題についてテーマを決めて取り組みことも実践的です。
経営コンサルティングの主要の役割の一つは、有用性の高いチームビルディングの企画及びファシリテーションです。
経営改革と人材育成において、チームビルディングは重要な手段です。
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