100年企業とは、長寿企業の特徴 共通点

営業 事業企画

100年企業とは、創業して100年を超える長寿企業です。本投稿では、100年企業の特徴と共通点を記載します。

創業100年を超える長寿企業について

上場企業の中で、世界で一番長寿企業は、ドイツの車両用部品製造のSHWは、1365年創業です。

現在上場している日本の長寿企業の中で、最も創業が古い企業は松井建設株式会社です。1586年(天正14年)創業で2022年現在、創業436年になります。2位は、1590(天正18年)の住友金属鉱山株式会社、3位は1602年(慶長7年)の養命酒製造株式会社、4位は1653年(承応2年)の小津産業株式会社の、5位は1666年(寛文6年)のユアサ商事株式会社となっています。

100年企業(長寿企業)長寿企業の業種

100年以上歴史のある長寿企業は、一番が製造業の26.0%。次に小売業(23.5%)、卸業(22.3%)と続いています。

設備投資が参入障壁になり、生産技術の積み重ねが競争力の源泉となる製造業に、長寿企業が多いことがわかります。

(参考:周年事業ラボ)

100年企業(長寿企業)の各国比較

日本は、各国に比べ長寿企業がたくさんあります。下記は、各国の創業100年以上、200年以上の企業数と比率です。 

参照:周年事業ラボ ホームページ

地政学からみる長寿企業

日本が長寿企業が多い理由として挙げられるのは、まず地政学です。

絶えず異民族の侵攻にさらされていた欧米や、中国に比べ、狩猟民族より農耕民族の色が濃く、先祖代々の田畑などを受け継ぎ、次世代につなぐことが重視されました。

四季の変化にとんだ気候は、きめの細かい職人芸を生む感性となり、技術の伝承を重視する土壌をつくり出しました。

日本海があったため、征服する、されるではなく、異国から渡ってきたものに対して、ゆっくり受け入れることができました。例えば、万の神(よろずのかみ)という言葉の通り、仏教をはじめとしてあらゆる神様を受けいれてきました。

山が多い国土であるため、分断される一方、地域社会のつながりが強く、共栄共存の精神を培いました。以上のことにより、社会性重視の長寿企業を生み出すこととなったのです。

100年企業(長寿企業)の特徴・共通点

長寿企業の特徴はなんでしょうか。長年の取引の信頼関係や培ったノウハウは当然あるでしょう。意外にも、変化に対応できるがトップの項目に出ています。(周年事業ラボ調べ)長寿企業でさえ変化への対応が重要です。もっと理想は、変化への起動力になるビジネスモデルを構築することです。

その他「顧客を第一の経営方針」「従業員を大切にする社風」を持つ特徴があげられます。

長く続いている企業に特徴ついては、様々な文献で研究されています。以下は抜粋です。

1.「各代ごとに必ず新しいことを一つやれ」と伝えられている長寿企業もあります。「不易と流行を合わせ持っている」変わらない普遍的な、価値観を持ちつつも、時代にあわせた変革を行っています。

2.「明確な使命やビジョンを持っている」「独自の使命が明確に言語化されている」使命、経営理念や行動規範など表現され方は様々です。事業の目的、失ってはならない強み、心がけなどが次世代に伝えられています。

3.「業界の常識にとらわれない発想を持つ」既得権益にあぐらをかかないところです。常に挑戦者であれという精神です。

4.「人間経営」「社員を大切にしている」社員教育に熱心に取り組み、長期的視点から人材採用、育成、登用が行われています。

5.「社会性」「世の中・地域への貢献を実践している」世の中に役立つことを通じて、支持され愛されることです。地域社会とのつながりは、顧客、仕入、人材採用とあらゆる面で、事業継続にとって重要です。

参考文献「創業300年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか」グロービス経営大学院 田久保善彦/東洋経済新報社 「新日本永代蔵―企業永続の法則―」 舩橋晴雄/日経BP社

上記は、三方よしという言葉でも表現されています。目新しいものではありませんが、起業したあと事業を継続させるために、非常に重要な道しるべとなります。

100年企業(長寿企業)の共通点

時代に対応している

100年企業(長寿企業)は、時代にあわせた、柔軟な対応のできる企業が多いです。

経営理念 パーパスの継承

事業継続の目的を「経営理念」「パーパス」などの言葉にしています。事業の目的は、取引先、従業員、地域社会に受け入れられ、共感されることによって、事業の支えとなります。

経営理念について詳しくは下記投稿もご参照ください。

取引先との信頼関係

顧客、仕入先、地域社会との長年の信頼関係があります。

100年企業(長寿企業)の教育

企業の維持継続に欠かせないのは社員教育です。従業員が蓄積した知識、経験、スキルがその企業固有の強みになり、事業継続の原動力となります。

社員教育について詳しくは下記投稿もご参考ください。

100年企業(長寿企業)にとって重要なのは経営者自身の成長と教育です。いくら社員教育を行っても、経営者や幹部のマネジメントができていないと社員教育の効果は半減します。

経営者はどのような成長と教育が必要なのでしょうか。どうやって教育すればよいのでしょうか。多くの経営者は、上司がいないため教育してくれる人がいません。

一つの方法としては経営者同士の会合に顔を出し、互いに体験談(失敗体験、成功体験)やビジネスにおける教訓を共有化することです。ただし、同業他社や利害関係がある場合はやりにくいし、すべてを開示してくれるわけでもありません。

優れた経営コンサルタントに依頼する方法もありますが、経営者を教育できるレベルの経営コンサルタントは、ほんの一握りですし、高額の報酬を支払わなければなりません。

まずできることといえば、成功者経営者や失敗者経営者の講演を聞きにいったり、著作本を読んだり、個人的に交流を持ち学びの機会をもつことでしょうか。

世間的に成功しているから優れた経営者であり、学びがあるとも限りません。自分とスタイルが似た一歩進んだくらいの経営者の方が、素直な気持ちで学べるかもしれません。

100年企業(長寿企業)経営者としての姿勢

幹部社員の教育方法

一人の経営者だけでは、どれだけ努力しても限界があります。経営を支えてくれ、権限を委譲できる幹部社員の育成が、組織力向上のポイントです。

幹部として権限が重くなるほど、また部下育成の責任があるほど幹部社員の質は経営にとって大きな課題となります。その重要な幹部社員の教育は経営者が上司として行わなければなりません。

権限を行使させ、想定の範囲内で失敗と学びの機会を与える必要もあるでしょう。経営幹部の部下に対する指導や評価も、できるだけ公正に行うように、最終決裁者として目配せする必要があります。

経営幹部の指導や評価が不公正に行うと、士気が下がり、離職者が増え、業績は悪化することにつながります。

幹部社員の育成について詳しくは、下記投稿もご参考ください。

社会性

経営者は自分の会社の維持に必死です。まず、自分の報酬は自分で稼がなければなりません。さらに、業績を保ち、社員の雇用を守らなければなりません。

なかなか社会のためときれいごとを言うゆとりはないかもしれません。しかし、取引先に対して、従業員に対して、守りたい、貢献したいという思いがないと、結果として事業は立ち行かなくなるのもです。

まとめ

経営者が自分の事だけを考えているのであれば、一時的にはもうかるかもしれませんが、中期的に事業は継続しなくなります。優秀な従業員には離職され、取引先や顧客は離れていってします。多くの継続企業の経営理念に、社会貢献をうたっているのはまんざらではありません

お客様、取引先、従業員を大事にし、ともに共栄共存する社会貢献の意識こそ、100年企業(長寿企業)の秘訣ではないでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました